あなた、何か特技あって?
ジブリ映画はお好きですか?
私は大好きです。なぜなら、とっても奥行きがあって、考察のしがいがあるから。
ジブリ映画は子供向けの素晴しいファンタジーなのだと信じて、考察を批判する人もいますが、私はそうは思いません。
むしろ、ただの子ども向けのポップなお話だという認識は、宮崎駿や高畑勲をちょっと軽視し過ぎなんじゃないかと思います。
彼らのような天才的なクリエイターが、物語に深みを持たせないなんてことは、あろうはずがないからです。
なので、私はジブリ作品は考察しすぎるくらいがちょうどいいと思うのです。
そしてですね、表面上は分かりにくいんですが、ジブリ映画の世界って、結構エグイんですよ。
今回の記事では、実はエグいジブリの設定について解説していきます。
奥が深いジブリの世界を覗いてみよう!
魔女の宅急便 先輩魔女・キキの体調不良
『魔女の宅急便』では、物語の冒頭に先輩の魔女が登場しますよね。
「ルージュの伝言」をラジオで聞いた後のあのシーンです。
あの先輩魔女が、キキと別れて向かうあの町。
ネオンで飾られた大きな風車が見えるのが分かりますよね。
あれって、パリにある「ムーランルージュ」っていうお店なんですよ。
ここは、パリで最も有名なキャバレーで、露出の高い服装で女性が踊る、そういった過激なショーが名物のお店。
近隣にも、大人のお店がわんさかあるんです。
あの先輩魔女が働く街は、歓楽街なんですよね。
そして、物語の終盤で、キキが体調不良になり、魔法が使えなくなってしまう。
あれは、キキが大人の女性に近づいていることのメタファーなんですよね。
トンボに対してこれまでになかった複雑な感情を抱いたり、身重のオソノさんと交流したり、自分でお金を稼いだりした経験をもって、大人に成長していっていると。
で、先輩魔女に話は戻るんですが、つまり魔女の宅急便は魔女を通じて、少女が大人になっていく様を描いているわけです。
女の子が町で、自立して暮らしていくということは、どういうことなのか。それを伝えているんですね。
先輩魔女が、割と危ない町で暮らしていることは明らかです。彼女の本当の仕事が何なのかは分かりませんが。
もののけ姫 たたら場の実態
『もののけ姫』にはエボシ御前が統治するタタラ場という町が出てきますね。
エボシ御前は劇中、サンと対立することから、悪役として認識される方が多いのではないでしょうか。
でも、彼女は現代社会においてはヒーローのような立ち位置なんですよ。
タタラ場には、包帯がグルグルと巻かれた人々も暮らしていたことを覚えていますか?
彼らは、ハンセン病の患者なんです。ハンセン病は当時は治らない感染症だとされていました。だから、隔離されているような描写があったんですね。
そんな彼らにも仕事を与えるエボシ御前。村中で慕われるわけであります。
しかし、この患者らの仕事というのが、鉄砲づくりなんですよね。
さらに、タタラ場というのは、製鉄を生業とする場所を差す呼び名なんです。女たちが足で踏んでいるのは、製鉄の為の作業。(温泉街じゃないんですよ)
女たちが製鉄して、患者たちがその鉄を使って鉄砲を作る。そういうメカニズムになっているんです。
そして、男たちはというと、牛をひいてそれらを売りに行っているんですね。
また、注目していただきたいのがタタラ場の女性は男性に比べると妙に若いんです。
加えて、タタラ場にはこどもが一人もいません。これに関しては、ジブリが公式に「タタラ場はまだできて間もない場所だから」と解答しています。
これらを結び付けると、エボシ御前は、病人や若い女性を、鉄砲を作る労働力として集めたということになります。おそらく女性は身売りされていたのを買ったんでしょう。
武力で他の国や自国の大名を圧倒しつつ、鑑賞させないような独立国家を目論んでいたということでしょうね。
さらにえげつないのが、サンや山犬たちに男たちが山中で襲われるシーン。
あそこで、数人の村人が谷に落ちます。そして、落ちた人をどうするかエボシ御前は問われるんですが、これを無視して「隊列を組みなおせ」と答えるんですよね。
こういったことが日常茶飯事で、かつ、今は村は発展途上だから、身体に手傷を負ったものを助ける余裕も養う余裕もない。
そういった背景があるんです。
千と千尋の神隠し 油屋の業務内容
続いては『千と千尋の神隠し』の油屋。
千尋が働くことになる、湯婆婆が統括するあの温泉宿。
あれはずばり、風俗店的なサービスを提供するお店なんですよね…。
ぶっちゃけもう、お風呂とか、油とか、ぎりぎりな表現です。短い名前は源氏名なんだろうし、上記の画像の年季明けってのは遊郭で引退を差す言葉です。
これについては、ジブリのプロデューサーである鈴木敏夫が著書でこのように語っています。
ぼくの知り合いでキャバクラが大好きな、某角川書店の偉い人なんですけど、こいつがもう、ほんとうに大好きでね。
「なんで、そんなとこばっか行くの?」って言ったら、キャバクラの女の子ってもともと、コミュニケーションが本来上手じゃないんだと。そういう子に限って、そういうとこで働きたがる。ところが、要求される仕事内容は、コミュニケーションを取ること。そうすると、やっていくうちに元気になっちゃうんですよ、って話をそのまま宮さんに話したんです。そしたら、そこから『千と千尋』ですよ。
だから、油屋って風俗のつもりなんですよ、宮さんにとっては。宮さんの中のソープランドですよね。なかなか恥ずかしくて、そういうとこに行けない人だから。神様を接待するっていうのは、言い方は良いですけど、何をやっているかっていったら、そういうことですよね。鈴木敏夫のジブリ汗まみれ4より引用
いやー、そうなると、この映画結構キツイですよね…。いろいろ見え方が変わってきます。
でも、色々なシーンで納得できちゃうんですよ。
まあ、江戸時代の初期までは、湯女(ゆな)というお風呂で髪を梳いたり身体を洗ったりするサービスを提供する女性を置く風呂屋があったそうですが、果たしてその実態がどのようなものだったかは想像できるかなと思います。
実際、吉原遊郭から湯女に下るというルートもあったそうですから。
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火垂るの墓 清太が見つめるもの
『火垂るの墓』って、どうやって始まるか覚えていますか?
「昭和20年9月21日僕は死んだ」このセリフを言いながら、清太が死んでいる自分の姿を見つめるシーンから始まるんですね。
そして、物語は、戦中に遡り、清太は母を失い、妹を失い、そして自身の死まで見つめる。そういった流れになっているんですね。グルグル回ってるんです。
清太という青年が、辛かった時期と自分が死ぬまでを繰り返し見させられている。煉獄の中にいるんですよ。
彼が煉獄に囚われるほどの罪はなんだったのか。これを紐解くのが『火垂るの墓』という作品なんです。ただのお涙頂戴では、ないんですよ。
もちろん、戦争に巻き込まれてしまった、被害者というのは大前提としてあるんですけど、彼も彼で結構非人道的なことをやっちゃってるんですよね。
そこに注目しながら、ぜひ再鑑賞してみてほしいです!
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
ジブリ映画の実はエグイ話や設定を解説しました。
もう一度観たくなったよ…!
私が紹介した内容は、岡田斗司夫さんの意見を参考にしていることが多いので、この記事が面白かった人はぜひ岡田斗司夫さんの公式you tubeも観てみてくださいね。
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