警察官を見て安心する人もいれば、恐怖のどん底に落とし込まれる人もいる
映画「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」を鑑賞しました。
本作は、2011年にニューヨークで実際に起こった、黒人男性射殺事件を基にした作品です。
製作総指揮はアカデミー俳優のモーガン・フリーマンとロリ・マクレアリー。
『インビクタス』のタッグです。
もうこの時点で、差別問題に対して本気で作ったであろう雰囲気がプンプンしますね。
今回の記事では、「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」の見どころと感想をお伝えしていきます!
作品概要
本作は、無実の黒人が白人警官に殺害されるまでの90分間を描くリアルタイム進行形サスペンス。ハリウッド俳優<モーガン・フリーマン>が、人種差別を扱い、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞ノミネート実績がある『インビクタス』のプロデューサー<ロリ・マクレアリー>とタッグを組み、製作総指揮を担った。モーガンは、「この映画は、法執行官がいかに間違ったアプローチをしているかを真にドラマチックに描いたものです。そして、この事実を広めることが私たちにできる最善の方法だと思います。」と語っている。
映画批評サイト「ロッテントマト」では批評家97%、観客85%と最高の評価を獲得。主演のフランキー・フェイソンは実在した人物を演じ、手に汗握る熱演で、アカデミー賞の前哨戦であるゴッサム賞で最優秀主演男優賞を受賞。さらに、衝撃的な内容が様々な議論を呼び起こし、各国の映画祭で圧倒的な存在感を残した。メディアからも「俳優たちの生々しい演技に目を奪われ、心をかき乱されるストーリー」や「まさに灼熱の告発」、「恐ろしく、力強く、生涯忘れられないほどの名作」のなど絶賛の声が続出している。
STORY:2011年11月19日午前5時22分。双極性障害(躁うつ病)を患う黒人の元海兵隊員ケネス・チェンバレンは医療用通報装置を誤作動してしまった。その後まもなく、白人の警官が到着した。ケネスは緊急事態ではなく、間違いであると伝えたにも関わらず、警官には聞き入れてもらえない。家のドアを開けるのを拒むケネスに対して、警官は不信感を抱き、更には差別的な表現で侮辱し始める。そして、警官到着から90分後の午前7時、ケネスはドアを壊して入ってきた警官に撃たれ、死亡する。何の罪も犯していないケネスは、なぜ警官に殺されなければならなかったのか。今こそ知るべき世界の実態がここにある。
「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」公式サイトより引用
90分間のリアルタイムというのが珍しいですね。
実際に現場に居合わせたかのような緊張感を味わうことができます。
日本人にとって、黒人差別問題というのは、何となく遠い出来事のように思われるのではないでしょうか。
私も身の回りに、黒人の知り合いはいませんしね…。
本作を観ると、人種差別問題や、鬱病に対して、考えが深まりますので、観てよかったなと
心から思います。
感想
本作は90分程度の作品です。
90分って、映画としては短いですよね。
この短さが本作の恐ろしさに繋がります。
通報装置の誤作動から、ケネス・チェンバレンが射殺されるまでが、わずか90分なんです。
そんなにあっさりと人の命が亡くなることが、実際にあるなんて…。
ケネス・チェンバレンは、双極性障害に加え、心臓病、喘息、補聴器までつけています。
かなり身体の調子が悪い70歳です。
警官隊が無礼にドアをたたく行為は、精神的にも肉体的にもキツイ。
そんな描写に心が痛みます。
また、白人警官による、差別的な発言も、心苦しいものがあります。
「どの部屋も犯罪の温床だ」
「くそったれのニガー」
など、耳を塞ぎたくなるようなセリフがありました。
2011年から、10年以上の時が経っていますが、人の意識はどれほど変わったのでしょうね。
警官は警官で、犯罪の多い町で、あらゆる危険を考慮した上で行動をとったのかもしれませんが、あまりにもいき過ぎていたように思います。
彼らの差別発言や、暴力的な行為は、問題視されていたそうです。
加えて、映画では語られませんでしたが、過去にケネス・チェンバレンは、警官から暴力的な行為を受けているようでした。
近隣の黒人の人々も、警官を避けるばかりで、信頼関係が全くないように観られました。
それならば、部屋に入れたくないという気持ちも、なんとなくわかりますよね…。
しかし、警官の中には、元教員の心優しい者もいました。
彼のように、社会的弱者の目線に立ったり、病気に対して寛容で知見のある人が、少しでも多く、冷静に対処できる世の中になればいいなと思います。
私も、色眼鏡で見たり、固定観念にとらわれず、冷静な判断をいつでもできるようになりたいものです。
福田村事件と比べて
とはいえ、様々な人種が暮らすニューヨークの出来事は、やはり自分事としてとらえにくい部分はあるのではないでしょうか。
そんな方はぜひ、「福田村事件」をご鑑賞ください。
こちらは100年前の日本で実際に起きた出来事を描いた作品です。
戦時中とはいえ、おぞましいほどの差別意識。
目をつぶらずに、真っ直ぐにとらえたい、知った上で、これからの行動を選んでいきたい。
そう感じられる作品です。
ニュースの見え方が変わりますよ。
「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」では黒人差別でしたが、
日本人にとって、そういう対象はどういった人になるのでしょうか。
私は、あなたは、誰も差別していないと言い切れるのでしょうか。
「福田村事件」は一つ、そういったことを考えるヒントになるはずです。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画「キリング・オブ・ケネス・チェンバレン」の見どころと感想をお伝えしました。
少々重いテーマですが、きっとあなたの心に残る映画です。
たくさんの人に観てもらいたい映画だね。
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