ノーランもビックリ!アカデミー賞7部門受賞!!
映画「アラビアのロレンス」を映画館で鑑賞しました。
アカデミー賞7部門受賞に加え、ゴールデングローブ賞でも4部門受賞した大傑作です。
1962年に公開された作品ながら、今観ても圧巻のスケールでした。
それでいて、繊細なんだよね。
今回の記事では、映画「アラビアのロレンス」の見どころや感想をお伝えします!
映画概要
STORY:1916年、英陸軍カイロ司令部に勤務するロレンス少尉(ピーター・オトゥール)は、敵国ドイツと同盟を結ぶトルコに対して反乱を起しつつあるアラブ民族の情勢を探るため、3か月の休暇を得た。元考古学者で現地の情勢に詳しいロレンスは、トルコの圧政に苦しむアラビア人たちに深く同情していた。反乱軍の指導者フェイサル王子(アレック・ギネス)に会うため旅立ったロレンスは、途中、ハリト族首長アリ(オマー・シャリフ)と出会う。
午前十時の映画祭より引用
今回私は、東宝で行われている「午前十時の映画祭」にて鑑賞しました。
いやー、こういう作品を、映画館でリバイバルしてくれるのは、本当に有難いです。
なぜなら、前回観に行った「大脱走」もですが、大きい画面で観るべき作品というか、映画館のスクリーンで映すために情熱をこめて作られた作品だと感じたからです。
観客を没入させる仕掛け
「アラビアのロレンス」は、広い砂漠が舞台です。
広い砂漠の中に、主人公や登場人物をポツンと移す、ワイドショットが多く映し出されます。
これは、観客が砂漠の中に放り込まれたような錯覚に陥ることを狙っているんです。
小さなテレビ画面では、味わい難い体験です。
私も鑑賞中、なんだか暑いような、喉が渇くような、孤独な緊張感を味わうことができました。
左から右へ
また、そんな砂漠を、主人公たちは全編左から右へ駆けていきます。
どんどん右方向へと進んでいくのですが、最後の最後に車でロレンスが左方向へ帰っていくという…。
絶妙に計算されつくした映画なのです!
デヴィッド・リーン監督のこだわりや才能がうかがえますよね…。
ロレンスは何者か
「ロレンスはいったい何者なんだ?」
このようなセリフが劇中何度か出てきます。
「アラビアのロレンス」は、ロレンス自身が自分が何者なのかを探す物語なのです。
ロレンスは、聖職者の息子で、父が信者に手をつけたことで産まれてしまったという背景をもっています。
つまり、生まれた時から”罪の子”として自戒の念というか背徳感のようなものを持っているんです。
しかも、私生児なので、父の苗字も受け継いでいません。
神を信じれば信じるほど、自分が”罪の子”だと思えて仕方がないと。
また、映画の中ではあまり直接的に描かれることはありませんが、彼は生涯、異性と交わったことがありません。
おそらく同性愛者だったのかと思われますが、人が人に愛情を表現したり、犬を抱きしめたりすることすら、見るのが辛かったそうです。
人を愛することを含めて、誰かと深く関わることを避け、自身に罪の意識を感じ自信を閉じ込める男、ロレンス。
そんな彼が逃げ場として見つけたのが、アラビアという土地だったのです。
砂漠という”何もない場所”を好んだそうですね。
「水の上を一緒に歩く者はいるか?」
というセリフも、絶妙です。
セクシャリティに関する巧妙な表現
映画の中で、ロレンスが白い民族衣装を貰うシーンがございます。
衣装をもらって喜ぶロレンス。
あのシーン、公開当初は話題にならなかったそうですが、ロレンスが明らかにゲイっぽい人物であることを表現しています。
性的マイノリティが昔に比べて寛容になり、関心が高まった今だからこそようやくわかる、時限爆弾のような仕掛けをしているのですよ。
キリスト教では同性愛はご法度とされている上に、自身の出自からも罪の意識が強いロレンス。
そんな彼がアラビアの土地で認めれ、存在意義を味わう。
そんなメッセージがこめられているんですね。
デヴィッド・リーン、恐るべし!!!
汚れていく白いドレス
そんな白い民族衣装、映画が進むにつれて、どんどんどんどん汚れていきます。
せっかく認められ、生まれ変わったロレンスが、汚れていき、最後は血で染まってしまう。
このあたりのメタファーももの凄いですね。
しかも、汚れてしまう原因というのが、自国イギリスの”三枚舌外交”なんですよ…。
自身の思いとは裏腹に、罪の思いを重ねてしまう。
なんとも切ないお話です。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「アラビアのロレンス」の見どころを解説いたしました。
壮大かつ繊細な映画なんだね。
映像の壮大さだけでなく、現代にも通じる奥行きまで楽しめる。
とてつもない作品です。
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