『リンダはチキンがたべたい!』をNetflixで鑑賞しました。
全国のミニシアターで放映されていた本作。
子ども向けというよりは、大人向けのアニメです。かなり切ない思いが込み上げます。
父を幼くして失ったリンダの込み上げる想い、一人で小さい娘を育てる母の葛藤、ストライキで混沌とするフランスの街を、チキンを巡る騒動でもって赤裸々に物語る。

今回の記事では、『リンダはチキンがたべたい!』で描きたかったことは何だったのか、詳しく解説していきます。

まずは公式サイトの作品概要から!
舞台はフランスのとある郊外。主人公リンダと母ポレットのチキンをめぐる大騒動と亡き父の記憶を描く物語。
本作の監督・脚本は気鋭の映画作家キアラ・マルタ(『Simple Women』)とアニメーション作家セバスチャン・ローデンバック(『大人のためのグリム童話 手をなくした少女』)。夫婦であるふたりがタッグを組み、鋭く繊細な実写映画的演出と、描線の筆遣いが活き活きと残されたワイルドで大胆なアニメーションで、唯一無二の映画体験を贈る。
この映画の「主役」である子どもたちは、録音スタジオではなく屋外で、実際に体を動かして演じながら声を収録。クレマン・デュコル(『アネット』)による楽曲が、楽しさだけではなく切なさでこの物語を彩る。
カラフルでスウィートな映像、笑いと涙のあいだを自由自在にかけめぐる物語、そしてなにより登場人物たちの爆発的に愛らしいアナーキーな魅力が前代未聞のレベルで掛け合わさった、大人から子どもまで誰もが楽しめる”史上最高級”のアニメーション・コメディ!
STORY:リンダが1歳のときのかすかな記憶――。ママのお気に入りの指輪と、パパが作ったパプリカ・チキン。とっても幸せな食卓だったのに、パパが突然消えてしまい、いまは少ししか思い出せない。8歳になったリンダは、ママとふたり暮らし。ある日、憧れの指輪を盗んだとママに勘違いされてしまう!間違いだとわかったママは償いのためになんでもすると言う……リンダは言う、「明日、パパのパプリカ・チキンがたべたい!」
次の日、ふたりはチキンを買いに出かけるが、なんと街はその日、肉屋もスーパーもストライキでやっていない!パパの思い出を取り戻したいリンダの固い決意を知ったママは……。
チキンをめぐる母と娘のクレイジーなドタバタ劇は、警察官やトラック運転手、団地の仲間たちを巻き込んで大騒動に。果たして、リンダは無事パプリカ・チキンを食べることができるのだろうか?https://chicken-for-linda.asmik-ace.co.jp/

まずは本作で重要な「ストライキ」について解説します。
フランスでは、日本と違ってストライキが頻発するんですよ。
ゼネラル・ストライキ
『リンダはチキンがたべたい!』では、「ゼネラル・ストライキ」(ゼネスト)が発生し、街が機能しない様子が描かれます。
フランスでは、ストライキが頻発するんです。以下に、これまでの主な発生事例をまとめました。
【ゼネストの発生事例】
1968年:パリ大学が左翼学生に占拠され、学生と警官隊が衝突する五月革命の際に、労働者も全土でストライキ
1995年:公務員特別年金制度の改革に反対して、公務員や学生が3週間にわたってゼネスト
2023年1月31日:年金制度改革に反対して、公共交通機関などでストライキ
2024年5月:パリ空港公団の労働組合が、輸送量の増加とサービス品質の向上に対応するための労働力不足を訴えてストライキ
2024年11月21日:SNCFの全組合が、鉄道の競争開放とフレットSNCFの解体に抗議してストライキ
【ゼネストの定義】
ゼネストとは、企業や組織単位ではなく、全国レベルで労働者が団結して行うストライキ(労働環境改善を求め労働者が労働を行わずに抗議すること)です。
2024年のパリでは、特にオリンピック開催を控えてストライキが頻発しました。交通機関や公共サービス、ゴミ収集部門などで多くのストライキが行われました。
例えば、パリのゴミ収集部門では、特別手当を求めて数日間続くストライキが実施されました。
また、パリ交通公団(RATP)でも、特別手当を要求する長期のストライキが予告されました。
さらに、2024年12月5日には、学校、病院、公共サービス、航空会社などに影響を与える全国的なストライキが実施されました。
という感じで、近年においてもストライキは発生していることが伺えます。
子どものスト
本作で、リンダやその友だち、そして同じ団地に住む子どもたちは、終盤で暴れだしますよね。
警察から逃げたり。警察車両を揺らしたり。荷物のスイカでサッカーしたり。
これ、何を描いているのかというと、子どもたちなりのストライキなんじゃないかと思うんです。
大人がやってるストライキに子どもたちも巻き込まれる。そんな子どもたちの怒りを表現しているのではないかと。
団地に住む鍵っ子たちは、みんなお腹が空いてるし、満足にお菓子も食べてない様子なんです。
貧しさによる不満を子どもなりの暴動で表現しているんでしょうね。
アニメで描かれるから、ポップに見えますが、これ実写だったら結構怖い映像になると思うんですよ。
アニメでこそ表現できたんじゃないかなって。力強さを感じます。
パプリカチキンってどんなの
お父さんの得意料理で、リンダがどうしても食べたかったものが、「パプリカチキン」という料理。
フランス語では「Poulet mijoté au paprika」といいます。
家庭料理のようなものなので、若干の違いがあるそうなんですが、こんな感じの料理です。

美味しそうですよね。
お米と一緒に、カレーライスのようなスタイルで食べられることもあるみたい。
感想
メッセージの強いお話でした。
先述した、貧困による子どもたちの不満とか、母子の絆、父との記憶とか、グッときます。
父の思い出の料理って、自分になんかあるかな。私が子どもの頃、たま~に父が料理することがあったんですよね。ホントたまに。
なぜかは分からないけど、得意料理が「パエリア」だったような気がします。めちゃくちゃ美味しかったわけじゃないけど、もう一度食べたいなって、この映画を観たら思いました。もう、叶わないだろうけど。
この映画、フランス映画のオマージュがいくつかあったように思います。
具体的なものは分かりませんが、時折挟む歌のシーンとか、『アメリ』っぽさを感じましたし、
ストライキのシーンを中心に、ゾンビ映画のオマージュも見られました。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
『リンダはチキンがたべたい!』について解説と感想をお伝えしました。

ストや親子の絆に対する、力強いメッセージを感じ取ることができます。

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