映画『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』を伏見ミリオン座で鑑賞しました。
本作は1993年のスウェーデン映画で、日本では2000年に公開されました。
日本で公開されたのは『ロッタちゃん はじめてのおつかい』の方が先なのですが、本国での公開や製作は『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』の方が先なんです。
つまり第一作にあたる作品ですね。
2000年に日本中を幸せと感動で包み大ヒットしたスウェーデン映画“ロッタちゃん”が帰ってきます。「長くつ下のピッピ」で知られるスウェーデンの国民的童話作家アストリッド・リンドグレーンが生んだもう1人のスーパーヒロイン、5歳の女の子ロッタちゃんと彼女の相棒、ブタのぬいぐるみバムセが巻き起こす、愉快なエピソードの数々。おしゃれで可愛くて、やさしくて温かい。どこか懐かしさを感じさせながら、何気ない日常がつむぎだす幸せの花束のような2本の傑作『ロッタちゃん はじめてのおつかい』と『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』が、2Kリマスターで可愛さも楽しさも倍増させて、日本の映画館を再び笑顔でいっぱいにします。
『ロッタちゃん はじめてのおつかい』(1993)の日本初公開は2000年1月15日。恵比寿ガーデンシネマで動員80,000人、興収1億2,000万円を記録(2010年休館時時点で同館歴代5位)する大ヒットとなりました。その人気を受けて同年6月24日からシリーズの前作にあたる『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』(1992)が公開され、動員37,000人、興行収5,750万円を記録して2作で最終的に37週間のロングランを続けました。その後、全国で2作品合計およそ20万人を動員し、3億円を超える興行収入をあげて2000年屈指のミニシアター・ヒット作となり、映画に登場する人気キャラクター、バムセのぬいぐるみも大ヒット商品となりました。
https://lotta-eden.jp/
評判通り、自由奔放なロッタちゃんの可愛さや、スウェーデンならではのファッション、景色がとっても素敵な作品なのですが、死生観のようなものが垣間見えるところが印象的でした。
死生観…?!
ロッタちゃんがとにかく可愛い
本作の見どころは何と言ってもロッタちゃんの可愛さ。
魚を食べない、風邪を引いててもおつかいについていきたがる、人形を置きっぱなしにして無くすなど、めちゃくちゃ奔放で我儘なロッタちゃん。
家族も「やれやれ…」といった感じなんですが、それでも優しく彼女の成長をサポートする様子が大変微笑ましいんです。
ロッタちゃんには、小学生のお兄ちゃんお姉ちゃんがいるんです。
『赤いじてんしゃ』では、兄姉は許されるけど、ロッタちゃんは「まだ小さいから」という理由で許されないことに不満を爆発させます。
タイトルの『赤いじてんしゃ』も、5歳だからまだ自転車は早いでしょ。三輪車で我慢しなさい。というくだりからきています。
とにかく、早く大きくなりたいロッタちゃん。
大きくなりたい気持ちが強すぎる故に、成長にかかせないものと教わった牛糞の上で立ち尽くすシーンは可愛くってたまりませんでした。
そんな『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』では、成長を願う少女の気持ちに沿うように、死生観のようなものが垣間見えるんです。
ロッタちゃんにみる死生観
ロッタちゃんのお家の隣には、ベルイさんという親切なお婆さんが一人で暮らしています。
このベルイさんがとにかく優しくて、こんなに無益な愛を隣人の子に向けられるなんてなんて素敵なんだろうと、心を和ませる人物の一人なんです。
しかし、映画の前半、ロッタちゃんとの会話のシーンで、彼女が夫を家族を亡くしているのだということが分かるんですね。
そんな時に、ベルイさんが、
「お母さんもお父さんも、お兄ちゃんもお姉ちゃんもいなくなった。私は遠い国で一人ぼっち」
そんな感じの曲を歌うんです。
このシーンは結構意味深な雰囲気が漂っています。
その歌を、ロッタちゃんはベッドで口ずさむんですね。
ロッタちゃんにとっては、自分のことを理解してくれない家族にたいして、自分は一人であるということに被りそうなこの歌詞ですが、それにしては重い。
ベルイさんの心の孤独さのようなものを切なく感じさせます。
家族がおらず、一人で亡くなっていくあろうベルイさん。
そして、もっと大きくなりたいと願うロッタちゃん。
生命の対比のようなものを、繊細に描いているようにみえました。
でも、そんなベルイさんは、ロッタちゃんの誕生日に彼女に素敵なプレゼントを贈るんです。
ロッタちゃんやその家族を優しく支えていながら、心のより所として、ロッタちゃんたちに支えられてもいる。
相互扶助の精神を感じますし、
ロッタちゃんとベルイさんの間には、年齢や世代を超えた絆のようなものがあるようにも感じました。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』について解説しました!
可愛いだけじゃなく、実は深い映画かもしれません。
こうなると『はじめてのおつかい』も気になるね。
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