「映画なんて観て、何になるんだよ」
映画『ナミビアの砂漠』をTOHOで鑑賞しました。
Xのフォロワーさんたちの間でかなり話題になっていたので、私も鑑賞したんですが、この映画はかなり複雑。
特に、ラスト30分の展開は難解ですね。
そこで、今回の記事では私なりに抱いた率直な感想と、ラスト30分について解説します。
結末についてネタバレするから、まだ観てない人は観てから読んでね。
『ナミビアの砂漠』あらすじ
『ナミビアの砂漠』は、21歳のカナが主人公の青春ドラマ。
カナは脱毛サロンで働きながら、優しいけれど退屈なホンダと同棲している。
しかし、刺激を求めてクリエイターのハヤシと浮気を始めることに。
新しい生活を始めたカナだったが、次第に自分自身に追い詰められていくように。
日常の中での葛藤や成長を描きながら、カナは自分の居場所を見つけようともがく。
『ナミビアの砂漠』の感想
2024年の時の人とも言える河合優実さん主演。
彼女の演技力の高さと、ガッツにあっぱれです。
2024年はハリウッド映画で人気のある若手女優が脱ぐのが流行ってますが、彼女もこの映画でヌードを披露しています。
ゴールデンのドラマに出て人気絶頂の彼女が今それをするって、かなりすごいことですよね。
そして、ぶっちゃけ、この映画に彼女以外、そこまで目立った俳優は出ていません。
それについては、狙いがあるのかなと思っています。
主演以外に目立った役者を使わない事や、超ロングショットの冒頭が意味するのは 身近にいる誰かやあなた自身など、すぐ傍にあるかもしれないドラマであるということを示唆しているんじゃないかと。
この映画、現代社会を生き抜く人で、こういう映画を観ることが趣味な人なら、少なからず共感できちゃう箇所があると思うんですよ。
地獄のキャンプや、若気の至りで開けちゃった鼻ピ、とにかく構ってほしい気持ちとかね。
「映画なんて観て、何になるんだよ」
というセリフも、非常にメタな視点で、我々に訴えかけているような気がしてならないのです。
そして、この映画はナミビアの野生動物たちのライブ映像で幕を降ろします。
ナミビアはアフリカで一番人口が少ない場所で、ナミビアという言葉は「何もない場所」という意味になります。
ラストで流れ、主人公が度々観ていたのはナミビアの砂漠のライブ映像。
人で溢れる東京の街と、何もないナミビアとを比較し、憧れのような気持ちを抱いているのでしょう。
冒頭が人波に紛れた主人公で始まるのに対し、最後がナミビアの砂漠と3匹のヤギであるというのも、そういったことを示唆しているのかもしれませんね。
ナミビアの野生動物たちを見つめるシーンは、ヒロインのカナが自己認識や内面的な変化を深める重要な瞬間です。このシーンでは、カナが自然の中で自分自身と向き合い、心の平穏を見つける過程が描かれています。
そう、この映画は、自己認識が一つのテーマになっているんです。
ラスト30分に多分に詰まっています。
ラスト30分のシーンについて解説
『ナミビアの砂漠』の終盤、おそらくラスト30分くらいは、よく分からないカットが繋ぎ合わさって流れます。
これがまた、メタな表現になってるんです。
メインストーリーの間に、
・ランニングマシンのシーン
・キャンプファイヤーのシーン
この謎の二つが流れるのです。
そして、この二つはどちらも、ヒロインの自己認識の変化や成長を象徴的に表現するために用いられているのではないかと思うんです。
「自分のことを知りたい」
と、カウンセラーとのビデオ通話で、彼女が言っていたのを覚えてますでしょうか。あのメタファーなのではないかと。
ランニングマシンのシーン
まずは、ランニングマシンのシーンについて。
突如、ワイプのようなものが現れ、主人公がケンカする自分をランニングマシンで走りながら見つめるシーンに切り替わります。
- 対立と距離感: 部屋での喧嘩は、キャラクター同士の対立や感情のぶつかり合いを象徴しています。その後、ランニングマシンで俯瞰して観るシーンは、物理的な距離感を通じて、感情的な距離感や自己認識の変化を表現しているのではないでしょうか。
- 俯瞰視点: ランニングマシンで俯瞰して観るという視点は、キャラクターが自分自身や状況を客観的に見つめ直す過程を示しています。これは、自己認識の変化や成長を象徴しているのではないかと。
- 動きと静止: ランニングマシンの動きと、それを見つめる静止した視点の対比は、内面的な葛藤や変化を視覚的に表現しています。
このように、監督は視覚的なメタファーを用いて、主人公の内面的な変化を描こうとしています。
キャンプファイヤーのシーン
主人公と友人が火を囲むシーンもまた、ミステリアスです。おそらく、以下のような意図があるのではないかと。
- 共同体と孤独: キャンプファイヤーは、キャラクターたちが一緒に過ごすことで一体感を感じる場面ですが、その中で各キャラクターが感じる孤独や内面的な葛藤もセリフとして描かれています。
- 浄化と再生: 火はしばしば浄化や再生の象徴として使われます。このシーンでは、キャラクターたちが過去の出来事や感情を浄化し、新たな一歩を踏み出す準備をしていることを示しているのではないでしょうか。
- 自然との調和: 自然の中でのキャンプファイヤーは、キャラクターたちが自然と調和し、自分自身と向き合う時間を持つことを象徴しています。これもまた、ナミビアの野生動物たちと重なる部分が大いにありますね。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『ナミビアの砂漠』の感想と、ラスト30分のシーンについて解説しました。
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