映画「NOPE」を鑑賞しました。
私はかなり好きな雰囲気の作品でした。
ジョーダン・ピール節も楽しめつつ、考察のしがいがある作品です。
今回の記事は「NOPE」の考察・解説記事となりますので、ネタバレを控えたい方はご注意ください。
また、あらすじなどをまだご存じない方や、これから映画を観る方はこちらの記事を読んで、映画を観てから今回の記事を楽しんでいただくのが最良です。↓↓↓↓
それでは、ここから先、ネタバレとなります。気になったシーンがあった人や、2回目の鑑賞前にぜひ♬
黒人差別メッセージ
まずはじめに、ジョーダン・ピールの映画に付き物の、黒人差別メッセージですが、今回もございます。
まずはそのあたりから解説していきましょう。
猿
「NOPE」のオープニングは血だらけのチンパンジーがこちらを向くシーンから始まりましたね。
あのチンパンジーが意味するのが、黒人差別です。
1998年に起こった出来事であると、映画では言っていました。
1990年代の映画で黒人俳優は、エディ・マーフィー、ウーピー・ゴールドバーグ、クリス・タッカーなど、コミカルな役を演じることが多かったです。
黒人は笑われるような役しか与えられなかったというメタファーと、
歯向かえば射殺されるという点もあるシーンでした。
靴
上記のチンパンジーのシーンでは、なぜか靴が立っていました。
上を向いた状態で。
初めは宇宙人の力なのかと思いましたが、これはおそらく、出エジプト記3章の「あなたの履物を脱ぎなさい」から来ているはずです。
その昔、靴を履けるのは裕福なものの証で、奴隷や貧しい人は裸足で歩いていました。
バラエティショーに出て、靴を履いて出演しているおまえらも、奴隷の立場に立て。
というメタファーではないでしょうか。
動物愛護
また、「黒人差別」以外にも「NOPE」では「動物愛護」的なメッセージも感じられました。
馬を連れた撮影シーンでは、馬の習性をよく理解せず、勝手な行動をとったスタッフが、馬に蹴られ。
笑いものにされ続けた猿は牙や爪で人を襲う。
動物をナメると痛い目に合うぞ。
そしてその最たるものが突如現れた「ビューワーズ」だったという訳です。
ナホム書第3章6節
「NOPE」の初めに流れる「ナホム書第3章6節」
「わたしはあなたに汚物をかけ、あなたをはずかしめ、あなたを見せものとする。」
これに繋がるシーンは物語中盤の家に血の雨が降るシーンです。
あれは、「ビューワーズ」の吐しゃ物や排泄物であると推察できます。
目に指をさすポーズ
ラストと少年時代の回想シーンで登場するあのポーズ。
「Im watching you」=「見てるからな」
という意味だそうです。
ネガティブなイメージのボディランゲージかと思いきや、映画ではとてもポジティブな雰囲気でした。
「俺は、お前のことちゃんと見てるよ」
いい兄貴です。
黄色いスカーフ
「ビューワーズ」の撮影にさあ挑むぞ!のラストシーンで、エメラルドが黄色いスカーフを着用しています。
アメリカでは、黄色いスカーフやリボンをつけるのに深い意味があります。
愛する人、特に戦争に送られ、一時的に祖国に帰ることができなくなった兵士達に対して、帰りを待ちわびているという思いを表すシンボルとして使われています。
おとり役をかってでた兄の無事を祈る、いい妹です。
日本アニメオマージュ
「NOPE」にはジャパニメーションへのオマージュが2つ見られました。
エヴァンゲリオン
「ビューワーズ」の見た目は使徒によく似ています。
「ガキエル」や「ラミエル」、「サハクィエル」あたりに近しいデザインを感じます。
両作品、テーマに聖書や宗教が絡んでいるので、そのあたりにも類似点がありそうです。
AKIRA
これには興奮しました。
映画館で声出ましたね。
ジャパニメーションを世界に知らしめた「AKIRA」の有名なブレーキシーン。
あのシーンのオマージュがまさかの実写再現。
最高です。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「NOPE」、ジョーダン・ピールらしさが足りないという意見もありますが、結構メッセージは強めです。
後半の化け物退治感も私はめっちゃ好みでした。もう一回観ようかな。
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コメント
靴の考察すごいです!冒頭に聖書からの引用があったので、このエジプト記?にも掛かっているのだと思います。作中の色んなモチーフにちゃんと意図やメッセージが込められていて何層も深い構造で作られた傑作だと思います。
コメントありがとうございます!
そうですね!映画史はもちろん、様々な宗教や歴史の引用もまだまだありそうです☺️
こんなに味わい深い作品を作ったジョーダン・ピール監督に今後も注目ですね!