人生最大の決断なんだ。
映画「いつかの君にもわかること」を鑑賞しました。
余命わずかのシングルファーザーが、残される息子のための里親探しにスポットをあてた物語です。
監督・脚本はウベルト・パゾリーニ。
2013年に公開された「おみおくりの作法」で、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門監督賞を含む4冠に輝き、日本でリメイク版として製作された阿部サダヲ主演の「アイ・アム まきもと」では、原作者としてだけではなくエグゼクティブプロデューサーも務めています。
リアリティ満載で、切ない気持ちになる作品でした…。
今回の記事では、映画「いつかの君にもわかること」の見どころを解説します!
STORY
窓拭き清掃員として働く33歳のジョンは若くして不治の病を患い、残された余命はあとわずか。シングルファーザーとして男手ひとつで4歳のマイケルを育ててきた彼は、養子縁組の手続きを行い、息子の“新しい親”を探し始める。理想の家族を求め、何組もの“家族候補”と面会をするが、人生最大の決断を前に進むべき道を見失ってしまう。そんな彼は、献身的なソーシャルワーカーとも出会い、自分の不甲斐なさに押しつぶされそうになりながらも、息子にとって最良の未来を選択しようとするが……。
「いつかの君にもわかること」公式サイトより引用
それではここから3つの視点で解説します!
実話をもとにした物語
今作は、パゾリーニ監督が実際に目にした記事から着想をえたそうです。
その記事の男性は、自身が捨てられた子であったために、頼る親戚もなく、養子縁組しか選択肢がなかったのです。
もし自分がそんな状況になったらどうしようか。
そう考えた監督は、同じようなストーリーで映画を作ることを決意したそうです。
あえて感傷的にしない
今作は、テーマは大変ドラマチックですが、映画の仕上がりは結構あっさりと、淡々としています。
いわゆる泣かせる音楽や、大層な演出のようなものがありません。
父子の日常がゆっくりと映し出されます。
それゆえに、病魔が父を襲う様子、残された時間の少なさ。
我が子を思う気持ち。
あまりにも愛らしい我が子。
それらがとても現実的に、手に取るように伝わってくる。
メロドラマ的な演出を排除したからこそ、より心に迫るものがありました。
繰り返し登場する「赤」
今作では、「赤」色が度々登場します。
息子の帽子。手にする風船。父の誕生日のお祝いのロウソクも。
すべて「赤」でした。
息子の好きな色ということもあるでしょうが、パゾリーニ監督からの何かしらのメッセージがこもっているのだと思います。
「赤」といえば、生命や血、強さや情熱を表す色です。
やはりこの映画全体のテーマである「生」と「死」を所々で象徴しているのでしょう。
これからも生きていく息子は生命の「赤」を多く身に着けている。
父の生きた34年の証としてケーキに34本の「赤」いロウソク。
などなど…。
何とも切ない思いになりますね。
ちなみに、風船のシーンはフランスの名作映画「赤い風船」のオマージュでしょう。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画「いつかの君にもわかること」の見どころを解説しました。
メロドラマ的ではありませんが、だからこそ、深い愛と、生命のメッセージが色濃く出た作品です。
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