シネ・リーブル梅田にて、チャールズ・チャップリン映画祭が開催されています。
今回、私は「巴里の女性」を鑑賞してきました。
今作は、チャップリンが出演していない上に、シリアスなドラマである異色の作品です。
コメディじゃないの?!
そうなんだ!
僕も驚いたよ。
STORY
フランスの片田舎にいたマリーは、恋人のジャンとパリに駆け落ちする約束をした。しかし、駆け落ちの夜、父親が急逝したジャンは駅に行けず、何も知らないマリーは失意のなか一人汽車に乗る。1年後、有閑紳士ピエールの愛人となって贅沢な暮らしをしているマリーは、ある晩、パリに出てきていたジャンと偶然再会する――喜劇王チャップリンが初めて手がけたシリアス・ドラマにして、長年のヒロインだったエドナ・パーヴァイアンスに捧げた〈運命のドラマ〉。監督に徹したチャップリンは映画作家としての天才を遺憾なく発揮し、サイレント映画の〈光と影〉の表現だけで、すれ違う男女の心の機微を描き切った。後の監督たちに多大な影響を与えた、映像の美を極めた名品。
フォーエヴァーチャップリン公式ページより
あらすじで分かる通り、かなりシリアスでドラマチックな作品です。
ラストは特にたまらないものがあります。
出演しなかった理由
チャップリン自身が、演出の方に注力してみたかったことや、チャップリンが出ていないことで観客を驚かせるサプライズで楽しませようというチャレンジングなねらいがあったそうです。
当時この作品は、チャップリンの喜劇を観に行った観客の期待を裏切ることとなり、世間的には不評でした。
しかしながら、映画関係者や評論家からは絶賛されました。
裕福な男性と故郷で分かれた元恋人との間で揺れる主人公、母子の関係性、女友達の腹の探り合いなど、劇中の登場人物やその心理描写の複雑さは、それまでの映画には見られないものとして非常に高く評価されました。
音楽が絶品
今作は、音楽が美しいです。
クラリネットの音色が、映画の感動をより大きなものに昇華しています。
この音楽、公開時にはなかったものでした。
1976年に再編集版が公開され、これはチャップリンが亡くなる前年のことでした。
チャップリンの75年のキャリアにおける最後の仕事となったこの美しい音色を是非ご堪能ください。
エドナの演技
今作では、チャップリン作品のほとんどに出演する、エドナ・パーヴァイアンスが主演を務めています。
どの映画でも素晴らしいですが、チャップリンが出ていない上に、喜劇ではないドラマチックな展開となっています。
そのため、主演である彼女に大きくスポットがあたります。
監督、チャップリンとしては自分が出ずとも、素晴らしい女優がいるということを、世間に認知させるねらいがあったそうです。
切ないラストが心地良い
今作のラストは、非常に切ないものとなっています。
分かりやすく白と黒をつけるもではなく、ハッピーエンドと言い切ることはできない終わり方です。
私はこのラスト、とても好きでした。
誰かのために生きることが大切であると、人生を見直すきっかけをくれる美しいラストです。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
喜劇以外もあるなんて意外だね!
私自身、喜劇を観るつもりで行ったので、正直面食らいました。
でも、本当に観てよかった。ある意味、これぞ本物の、チャップリン監督作品と言えるのかもしれません。
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