この映画を観ると、
ディーディー・ブランチャード殺人事件と、
代理ミュンヒハウゼン症候群の、
恐ろしさに震えます。
映画「RUN」を鑑賞しました。
初監督作「search/サーチ」で、2018年サンダンス映画祭プレミア上映され、カテゴリー別での観客賞を受賞したアニーシュ・チャガンティの作品です。
非常に恐ろしい作品です。
えぇっ!また恐いの…??
恐いけど、お化けじゃないよ。
今回の記事では、「RUN」をより深く味わうための解説をお伝えします。
本編の結末に繋がる内容はなるべく伏せて紹介していきますので、鑑賞前にもお読みいただければ幸いです!もちろん鑑賞後にも👍
作品概要
まずは作品概要から。
今作は、前作「search」と非常に比較しがいがあります。
また、主演のキーラ・アレンについて押さえておくと、より関心を持って鑑賞できますので、そのあたりの解説を👇
STORY
郊外の一軒家で暮らすクロエは、生まれつき慢性の病気を患い、車椅子生活を余儀なくされている。しかし常に前向きで好奇心旺盛な彼女は、地元の大学進学を望み自立しようとしていた。そんなある日、クロエは自分の体調や食事を管理し、進学の夢も後押ししてくれている母親ダイアンに不信感を抱き始める。ダイアンが新しい薬と称して差し出す緑のカプセル。クロエの懸命の調査により、それは決して人間が服用してはならない薬だった。なぜ最愛の娘に嘘をつき、危険な薬を飲ませるのか。そこには恐ろしい真実が隠されていた。ついにクロエは母親から逃れようと脱出を試みるが……。
公式サイトより引用
前作「search」とは真反対
2018年に公開された「search」では、SNSやウェブサイトなど、インターネットを駆使して犯人を特定していくお話でした。
物語のほとんど全てが、インターネットの画面上で繰り広げられるというこれまでにない作風で注目されました。
しかし今作「RUN」では、主人公クロエはインターネットから遮断された環境に立たされます。
今作の主人公は、前作とは真逆のインターネットに一切接続できない環境。歪んだ母性愛が狂気へと変貌していく母親と、知識をフル稼働し逃げようとする車椅子の娘が展開する、濃密な心理戦。
公式サイトより引用
非常にチャレンジングですね!
「search」もとても面白い作品でしたが、ライブ感のあるスリルとしては、今作「RUN」の方が上位でしょう。
キーラ・アレン
主演のキーラ・アレン。
彼女は実生活でも車椅子を使用しています。
しかも、ストーリーと同じく、彼女は現役のコロンビア大学の学生でもあります(2020年公開当時)。
ここまで主人公と同様のスペックを持っているからこそ、圧巻の演技を見せてくれます。
車椅子の操作が非常に巧みで、スピード感を要する場面も違和感なく演じています。
ディーディー・ブランチャード殺人事件
この映画には基ネタがございます。
それが、ディーディー・ブランチャード殺人事件です。
2015年に、ディーディー・ブランチャードというシングルマザーが数十か所を刺されて刺殺された事件。
そして、ディーディー・ブランチャードと二人で暮らしていた娘が行方不明になります。
娘の名前はジプシー・ローズ。
筋ジストロフィーをはじめ、様々な病に侵され、車椅子生活を余儀なくされていました。
そのため、テレビやfacebookを見て、哀れに思った人々からお見舞金や寄付が集まります。
そして2015年、事件が発生。
何者かが、ディーディー・ブランチャード殺害し、娘を誘拐されたと考え、大騒動になりました。
しかし、犯人は、娘ジプシー・ローズだったのです。
(厳密には、ジプシー・ローズが依頼し、ニコラスという共犯者が殺害を実行)
なぜこのような事件が起こったのかというと、実はジプシー・ローズの病気は、作られた病気でした。
母親から、様々な薬を盛られ、病気にされたのです。
障害者になるための、手術まで受けています。
その事実に気づいたジプシー・ローズが、オンラインで出会ったニコラスの協力を受け、殺害に至ったという訳でございます。
母親がなぜ、ジプシー・ローズにたいしてそのような非道な行いをしたのか。
一つは給付金目的です。
そしてもう一つは”代理ミュンヒハウゼン症候群”です。
代理ミュンヒハウゼン症候群
”ミュンヒハウゼン症候群”とは、
自分が怪我や病気であると偽り、周りの人の気を引いたり同情を買うことで精神的に満たされようとする行動が繰り返し見られる精神的な疾患です。
現在は、”自らに負わせる作為症”と呼ばれます。
そしてこれを、子や他人に対して行うことを”代理ミュンヒハウゼン症候群”と呼ぶのです。
子どもに対して、手段として傷害行為に及び、自分に対して周囲の関心を引き寄せることで、自らの精神的満足を他者から得ようとしているものであります。
まさしくディーディー・ブランチャードが、SNSやメディアで注目を集めたことと繋がりますね…。
ちなみに、映画「シックス・センス」で、母親から洗剤を飲まされて死んだ少女の霊が出てきます。
彼女の母親もまさしく代理ミュンヒハウゼン症候群です。
「シックス・センス」は1999年の作品なので、結構昔からある精神疾患で、日本でも1998年に福岡県であったことが明らかにされています。
ブタの貯金箱は日米共通
暗くなったので最後は明るく。
作中で、クロエがブタの貯金箱の中身を確認するシーンがございます。
何と、ブタの貯金箱は、日米共通なんですね。日米どころか、発祥はヨーロッパという説もあるので、諸国共通です。
イギリスの職人が赤土を意味するピッグ(Pygg)の貯金箱をつくるよう依頼されたところ、ピッグ(Pig)だと勘違いして、ブタの貯金箱をつくってしまったという説が有力なのだとか。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画「RUN」を楽しむために実際の事件や精神疾患について解説しました。
超恐いね…。
そうだね…。
ほぼ実話。なんと恐ろしい…。
X(旧Twitter)はこちら
https://twitter.com/bit0tabi
Instagramはこちら
https://www.instagram.com/bit0tabi/
Facebookはこちら
https://www.facebook.com/bit0tabi/
noteはこちら
https://note.com/bit0tabi
コメント