最狂の承認欲求モンスター誕生の理由は…
映画「シック・オブ・マイセルフ」を鑑賞しました。
強烈な映画でした。
2023年に観た作品の中で、一番怖かったかも。
先日観た「PIGGY」よりも、ある意味強烈。
どんな映画なの?
承認欲求を満たされるために、一人の女性がとんでもない方向へ向かっていく話だよ。
作品概要
本作はノルウェーの映画です。
カンヌ国際映画祭に出品しているだけあって、社会的なメッセージとか、独特な雰囲気、北欧のじっとりとした味わいが楽しめる作品でした。
暴走する自己愛に、嫌悪と共鳴が止まらない”セルフラブ”メディケーション・ホラー。シグネの人生は行き詰まっていた。長年、競争関係にあった恋人のトマスがアーティストとして脚光を浴びると、激しい嫉妬心と焦燥感に駆られたシグネは、自身が注目される「自分らしさ」を手に入れるため、ある違法薬物に手を出す。薬の副作用で入院することとなり、恋人からの関心を勝ち取ったシグネだったが、その欲望はますますエスカレートしていき――。
シネリーブル梅田作品紹介ページより引用
主人公シグネは、カフェの店員をしているんですが、同棲しているパートナーがいます。
彼は芸術家なんですが、盗品でアートをするという、変わった人なんです。
泥棒アーティストといったところでしょうか。
彼氏の方は結構メジャーになっていくんですが、シグネはそうではない。
この感じ、「わたしは最悪。」と同じなんですよね。
それもそのはずで、製作者が同じ人なんですよ。
私はぶっちゃけ、「わたしは最悪。」のよさが今一つわからなかったんですが、「シック・オブ・マイセルフ」はとても面白かったです。
ノルウェーは自由の国。だからこそ…
ノルウェーは、最も住みやすい国と言われています。
ホワイトな職場環境はもちろんのこと、学費が無料で誰でも大学に行けちゃったり、福祉もとっても充実しています。
そんな国ですが、こういった暗い(ヤバい)感じの映画、結構北欧って多いんです。
A24が目をつけてるんだからよっぽどですよね。
「わたしは最悪。」もそうでしたが、自由度が高すぎるからこそ、逆に何をしたいのか分からず、本当にやるべきことが見つからない。
そんな女性が多いのかもしれません。
「シック・オブ・マイセルフ」でも、
『もっと他にやることはないのか』と年配の男性から𠮟責されるシーンがありました。
愛を受けなかった結果
ノルウェーの社会だけがこういった女性を生んでしまったのかというと、そういうわけでもありません。
もう一つの要因として、父親の愛情を受けてこなかったというものがあります。
主人公シグネの父親は、母親と別れています。
彼女は父からの愛をほとんど受けていなかったんですね。
そういう子どもは、嘘をつきます。
注目されたいあまり、悪いことをしてしまって、その行為の理由を上手く説明できないために、嘘をつくという、負のサイクルが重なってしまう訳です。
こういった注目を集めるためにとる行動を、注意獲得行動といいます。
怒られている間は、自分のことを見てくれているから、満足できるんですね。
または、自分のことをキチンと見てくれているか、確かめるような行動なのです。
子どもやパートナーには、厳しくしすぎず、愛情をもって優しくすることが大切だというメッセージもこもっているのでしょう。
ちゃんと観てるよということを、言葉で行動でまめに示してあげましょう。
シグネのTシャツに注目
本作で注目していただきたいのが、シグネが着るTシャツ。
まずはFather figureという文字がプリントされたTシャツですね。
Father figure は”理想の父親”を意味する言葉です。
上記の父親からの愛情の話に繋がるのではないでしょうか。
また、緑色のfestival de cannesという文字がプリントされたTシャツを着るシーンも。
これはもちろん、カンヌ国際映画祭のTシャツです。
とにかく強烈!
本作を観た率直な感想ですが、とにかく強烈です。
「PIGGY」より怖いってのも納得いただけるかと思います。
前半はコメディなんですけど、40分で大きな事件が起こり、60分頃にはとんでもないことになっていく。
コメディからスリラーに化けるんです。
特殊メイクも強烈だし、何となく共感できてしまうというところが一層後を引きます。
SNSでバズってる人とか、友人の成功を羨んでしまうことって、誰しも持つ感情ですもんね。
下手なホラー映画よりも断然怖いですよ。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画「シック・オブ・マイセルフ」の解説をお届けしました。
下手なホラーよりも強烈に怖い映画です。
北欧の冷たい雰囲気と、共感に震えちゃうね。
X(旧Twitter)はこちら
https://twitter.com/bit0tabi
Instagramはこちら
https://www.instagram.com/bit0tabi/
Facebookはこちら
https://www.facebook.com/bit0tabi/
noteはこちら
https://note.com/bit0tabi
コメント