子どもたちが迷い込んだのは夢か煉獄か
『スキナマリンク』を鑑賞しました。
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本記事は観た後の方に向けた解説です。ネタバレを含みますので、未鑑賞の人はご注意ください。
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自分なりに考察をしながら観たいなって人は、まず下記リンクの観る前解説を読んでね!
それでは、ここから先はネタバレありの解説です。
まず、『スキナマリンク』で描かれるあの世界。一体どういうものなのか、気になりましたよね。
私なりに推察すると、あれは子どもたち(ケヴィンとケイリー)の夢か、煉獄を描いたものなんだと思います。
そこまで子どもたちの悪意みたいなものは描かれていなかったので、平たくみれば夢なのかなと思うんですが、ずっと抜け出せずにあの世界を彷徨い続ける様は、煉獄を描いているようにも見えました。
どっちだととらえてもいいと思います。
罪は何なのかというと、「お母さんには会いたくないな」や「パパはどうしていないの」というセリフ、また、先に姉のケイリーが眼を奪われるというペナルティを受けていたあたり、ケイリーの方が両親を殺害した。そしてそれに対して何もアクションを起こさなかった弟ケヴィンもまた煉獄に囚われてしまった。
あえてするのであれば、そういった解釈ができるかなと。
それよりも私がこの映画の醍醐味として重要だと思うのが、カイル・エドワード・ボール監督が描きたかった恐怖とは一体何だったのかです。
カイル・エドワード・ボールは2025年現在、32~34歳くらいです。
そして、この映画の冒頭で一瞬流れるんですが、この悪夢のような映像は1995年に撮影されたビデオテープみたいなものという設定なんですね。
カイル監督が幼少の頃の時代を描いているというわけになります。
私はあの映像、ずばり「子どもの頃に恐かった記憶」を表現しているんじゃないかと思うんです。
幽霊のようなものの情報を、何となくどこかでインプットしてしまうかしまわないか。
それに染まりきってしまう直前に誰もが漠然に恐いと思うなにか。
人が根源的に恐怖してしまうもの、そういったものを描いているんじゃないかと。
ベッドの下、ドアの隙間、暗闇、地下室、不気味な玩具。
お化けなんかいないとは思っていても、なぜか恐い。そういうものを。
そして、少年時代に入ってそういうものがいよいよ恐いものだと確信できるようになって、でも面白いから知りたくなってしまう。
そんな揺らぎを描いてるように思いました。
私はこの映画を観ながら、映画『リング』を観た後や、ホラー小説を観た後に寝る時のことを思い出していました。
大人になってからありませんが、子どもの時って、恐い映画とか小説とか読んだ時って、本当に恐かった。
いつも安心して過ごしているはずの寝室やお風呂が、たまらなく恐ろしい。いつもは大好きなあの人形も、なんか今夜は動き出すんじゃないかと思ってしまう。
そういう記憶、ありますよね。
そんな、ある意味ノスタルジーに近いような感じと恐怖とを同時に味わうことができたんです。
だから、ベッドの下を覗くシーンとか、懐中電灯で部屋を照らすシーンとかが、めちゃくちゃ恐かった。他のホラー映画にはない、記憶を辿るような不思議な感覚。第三者でいられない感覚。
こういった面白さを得られる映画だったと思うんですよね。
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最後までお読みいただきありがとうございます。
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『スキナマリンク』は、監督が子どもの頃に恐ろしく感じていたものを、表現した映画なのではないかと、私は感じました。
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