映画『ソフト/クワイエット』をアマゾンプライムで鑑賞しました。
ブラムハウスの製作で、日本では2023年に公開された作品です。
この映画、タイトルとは逆で、めちゃくちゃハード。
えぇ、どんな映画なの?
あらすじは話しますが、終盤や結末に関するストーリーは伏せますので、これから読む人もご安心ください。
全編ワンカット
この映画の特徴としてまずお伝えしたいのが、全編ワンカットの長回しであるということ。ワンカット風なのか、実際そうなのか分かりませんが、いずれにせよ見事です。臨場感あります。
物語は大きく動いていくんですが、これがわずか90分の出来事なのかと考えると、より一層恐ろしさが増すでしょう。
タイトルと日本版ポスターの妙
で、タイトルの『Soft & Quiet』は柔らかに、密やかに。みたいな意味なんですが、これとは逆のような目まぐるしいストーリーになってます。劇中でも同じようなセリフがあるんですけど、皮肉っぽく描いたんでしょうね。
日本版のポスターには、「静かで優しい」って書いてるんですけど、これは変だと思います。だって、白人至上社会を取り戻すために、ゴリゴリに差別していく集団が、中心の話ですから。優しい態度なんて見せません。本気で移民を追い出すために、初めは角が立たないように柔らかな物腰で私たちの活動を広げていこうってことに起因するんです。
ざっくり、こんな話
冒頭から、なかなか強烈なんです。女性の放尿シーンから始まります。これ、何かっていうと、妊娠検査をしてるんですよね。職場である幼稚園のトイレで。検査薬を見てショックを受ける女性の様子。
そして、黒人の女性清掃員とすれ違ったあとに、教え子にフォーカス。ショックそのままに彼女はその子どもと一緒にその子の母親の迎えを待ちながら話すんです。
その子どもに対して、清掃員に子どもが下校するまでは危ないからモップがけはしないように言ってきてっていうんですよね。
母親が迎えに来たから、自身も帰路に向かう。
そこで、ケータイに刑務所から電話がかかってくるが応答しない。どうも近しい人が刑務所にいるみたい。
彼女はこれからどこか会合に出かけるみたいで、そこで一人の女性と出会います。その人も参加者なんです。
で、初対面であるにも関わらず、その女性に荷物をたくさん持たせたり、結婚してるかズケズケと聞いたりするんで、観てる方からするとすごく無礼な人だなと感じるわけです。
その後も、バターって最高よねとか、性的趣向とか年齢とか、食の考え方とか、この女性はあらゆる面において、多様性が謳われる現代においてやや割と古い考え方のまま止まっている人なんだって印象受けるんです。
しかし、その会合の会場である教会に着いて、この理由が分かるんですね~。
彼女は超白人至上主義者だったんです。
Daughters for Aryan unity アーリア人の統一のための娘たち
というコミュニティを結成して、初めての会合だったということが分かるんです。
黒人やラティーノが優遇されてんじゃないの?逆差別だよね?みたいなことを話し合う会。KKKのメンバーまでいます。
こういう人たちは、自分たちこそ純血だと信じているので、結婚して自分たちの血統の子孫を増やすべきだ!という主張を持っているです。だから出会い頭から結婚してるかどうか聞いたんですね。冒頭の妊娠検査は不妊を嘆いていたと。
めちゃくちゃきついんです。教会にカギ十字を描いたパイを持ってきてるんですよ…。
で、あまりにも移民を蔑視した話をするもんだから、神父に帰ってくれって言われて、自宅で飲むことになるんです。
その酒をスーパーで調達するときにアジア系の女性二人組が店に入ってきて、一行は絡みだすんですね。
そして彼女らと揉めるうちに、とんでもない事実が発覚して、さらにとんでもない事件に発展していくんです。
感想
こういう、白人至上主義って、まだ残ってるところには残ってるんでしょうね…。
というか、激しい一部の人だけではなく、一人一人の心に少なからずあるんじゃないかと。私はそこにフォーカスしたい。
日本も移民に対して厳しいし、冷たい国だと思います。
大阪には、朝鮮系のルーツを持つ人がたくさん住んでいます。
果たして彼らに対して、一切の色眼鏡をかけずに見ることができているのだろうか。
こういうところあるよね。という先入観を持ってしまってはいないだろうか。
自分の考え方や態度を、振り返ってみようと思いました。
知った上で、接する態度は何も変わらないけど、デリケートな部分には細心の注意を払う。何も気にしないというのも、違うと私は思うので。
後、オーストラリアに居た時は、直接差別的な言葉を聞いたわけではありませんが、何となく自身を卑下たような、そんな気分になることもありました。
アジア人として、白人に対して憧れも尊敬も持っている。でも、少しは差別的な目で見られているんじゃないか。そういう人も結構いるんじゃない?そんなムードになってしまうんですよね。
これもまた、一つの差別というか、逆差別的なものなのかも。そんなこと思ってない人ばかりでしょうから。
しかし逆に、白人の人たちは、アジア人は何もされてなくても自身を卑下したような、そういった気分を持っているということも知っておいてほしいな~と感じました。これ、伝えにくいですけどね。
スクールカーストと同じかも。
あと、ポスターなんですが、これ、アジア系の女性と白人女性なのかと思ってたんですが、違うんですよね。白人×白人なんです。何かミスリードを誘う仕掛けだったのかしら。それとも私が勝手に思い込んでいただけだったのかしら。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『ソフト/クワイエット』について解説しました。
全編ワンカット、非常にスリリングで臨場感たっぷり。めちゃくちゃ疲れます。
でも、学びが大きいので、ぜひ差別問題の感度を高めたい人には観てほしい作品だと思いました!
アマゾンプライムで今なら観放題だよ!
https://www.amazon.co.jp/gp/video/storefront?benefitId=default&tag=neotennoji-22
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