『ソウルフル・ワールド』名声よりも、持つべきはセンスオブワンダー

アニメ映画

まだわからないけど、一瞬一瞬を大切に生きるよ

映画『ソウルフル・ワールド』をTOHOシネマズで鑑賞しました。

本作はピクサーの作品で、2020年に製作されたものの、Disney+の配信でのみ観られる作品だったんですが、今回スクリーンでかけられることになりました。

同じピクサー作品で同監督の新作である『インサイド・ヘッド2』の公開に先立って、宣伝を兼ねた感じでしょうか。

bitotabi
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私はピクサーの作品が大好きで『ソウルフル・ワールド』は、かなり気になっていた作品でした。

ダニー
ダニー

Disney+のあらすじはこちらです!

生まれる前の世界・・・そこは新しいソウル〈魂〉が地上へと行く前、どんな個性や才能、興味を持つのか、決める場所。何百年も暮らす“こじらせ”ソウル・22番。彼女は自分のやりたいことや好きなことを見つけられず、「人間に生まれたくない」とずっと思っていた。そんなある日、ニューヨークでジャズ・ピアニストを夢見る音楽教師・ジョーがソウルの世界に迷いこむ。元の世界に戻り夢を叶えたいジョーと、彼に協力することになった22番。奇跡の大冒険を繰り広げる二人が、最後に見つけた<人生のきらめき>とは…?

https://www.disneyplus.com/ja-jp/movies/soul/77zlWrb9vRYp

今回の記事では、映画『ソウルフル・ワールド』について語っていきたいと思います。

ストーリーに関するネタバレや、細かい豆知識のようなものもありますので、未鑑賞の方はご注意ください。

ピクサー作品は大人に響く

私がピクサー作品を好きな理由は、大人の心に響く作品が多いからです。

一見、子ども向けのファンタジーっぽいんですが、大人の方が大きな影響を受けると思います。

なんかもう、親子で一緒に観られるというのを撒き餌にして、実は大人を釣り上げてやろうみたいな、本当にそれくらい大人向けのしっかりしたメッセージがこもっているんですよ。

昨年公開された『マイ・エレメント』もそうですが、最近の作品は特にその傾向が強いように思います。

 



『ソウルフル・ワールド』は特にすごい

そして今回鑑賞した『ソウルフル・ワールド』。

とんでもなく心に響きますよ。

最後の最後の結末なんて、ある程度人生を重ねないと、分からないと思います。

かなり渋いラストです。30代の僕だって、まだまだ行き着いていない領域です。

そもそものテーマが「生きる意味」を持つことは必要か、「人間が生きること」とは。という哲学的なものであり、その舞台も魂の世界という壮大なスケールなんですよ。

主人公はJAZZミュージシャンを目指している中年男性。これまた渋い。

劇中にも登場するセリフで、「自分がいまやっている仕事は、本当に自分が人生をかけてやるべきことなのか」というものがあります。

こういった働く大人が誰しもふと考えてしまうことをストレートに訴えかけてくるんですよね。

これは、監督のピート・ドクター自身も時々思ってしまうことだそうです。

しかし、大人向けなのはおおよそのテーマとラストだけではありません。 

 



初めての黒人主人公

『ソウルフル・ワールド』は、アフリカ系アメリカ人、つまり黒人の主人公です。

これは、ピクサーの作品では初の試みなんです。

黒人主人公にすることで、アメリカにおけるブラック・カルチャーを見せる。そのために制作陣みんながブラックカルチャーを理解する。

映画における多様性のためのチャレンジングな作品なんですね。

雇用の問題や、保険の問題、地下鉄の不穏さ、教育現場などなど…。

アメリカ社会のリアリティを、ギリギリ子どもが不安がらないように絶妙な塩梅で見せています。

ちなみに、製作としては最新作になる『マイ・エレメント』これはニューヨークにおける移民問題を扱っています。特にアジア系の人たちですね。

あと、『ソウルフル・ワールド』は音楽も素晴らしいんですよね。

黒人から生まれた音楽、JAZZ。これを主題に持ってくるのがすごく素敵です。

「ソウルフル」と「ソウル」がかかっているところもいいですよね。

加えて、日本吹き替えが「在日ファンク」の浜野謙太さん。これまたいい。

たくさん登場する偉人たち

これまた、大人にしかわかりにくいネタなんですが、『ソウルフル・ワールド』には過去の偉人たちがたくさん登場するんですよ。

ソウルの世界に、これから人間として生まれていくソウルの赤ちゃんたちに教えを与える先生(メンター)として偉人たちが現れるんです。

リンカーン、マザー・テレサ、モハメド・アリ、コペルニクス、カール・ユング、マリー・アントワネットなどなど…。

みんないいこと言うんですが、未熟なソウルに論破されちゃうんですよね笑

これはすごく面白い。

キャラクターとして登場するのは主に上記の偉人たちですが、22号に論破された偉人は、他にもアインシュタインや孔子、ネルソン・マンデラ、ゴッホなど、たくさんいたみたいです。

Disney+で観られる人は、22号の秘密の隠れ家のシーンを一時停止して観てみてください。壁に歴代の先生たちがずらっと貼られていますので。

私が一瞬で認識でしたのはこれくらいでした…。

 



大人にしかわからない怖さ

また、『ソウルフル・ワールド』には、大人にしかわからない怖さも見せてくれます。

私が一番ゾッとしたのは、ゾーンに入った人のソウルと、迷子のソウルのシーンです。

人はゾーン状態(スポーツとか音楽で、無意識に身体が動いたり、周りがゆっくり見える、極限の集中した状態)に入ると、その魂や意識はソウルの世界へ一時的に来るという設定があるんですよ。

そして、そこには、迷子のソウルという怖い見た目のキャラクターもいるんですね。

どうしてそうなるかというと、迷子のソウルは元々はゾーンに入った人のソウルだったというんですよ。

健康なソウルは、また、身体へ戻っていくんですが、極限まですり減らした結果、魂や潜在意識が、どこか違うところへいって戻ってこない。そうなってしまった人たちを表しているという訳です。鬱病とか、PTSDのような心の病気になってしまうと。

スポーツ選手とか、アーティストのような人がゾーンに入ることが多いようでしたが、お金を扱う仕事をする人や、普通の会社員だって時にはあるでしょう。

そして、ゾーンに入った人が迷子のソウルに変わる瞬間を描くシーンがあるんですが、これがもう、怖くて悲しい。

「見つけなくちゃ、見つけなくちゃ」

といいながら、何か機械で足元を探っているんですよ。

これ、言及はしてませんが、地雷を探している人だと思うんですよね。

必死に地雷を探した末に、神経を擦り減らして迷子のソウルになってしまう…。

こういった、現代社会の心の病気の問題を描いているわけです。

でも、『ソウルフル・ワールド』は、そういった心の摩耗とどのように向き合えばいいかを優しく伝えてくれています。

名声よりも、センスオブワンダー

『ソウルフル・ワールド』では、二つの人物及び価値観を対比して描いています。

何者かになりたくて、必死にもがく主人公と、

初めて人間として生きて、ちょっとしたことに感動する22号です。

目標や大きな夢を目指して生きるのは、悪いことではないが、心を擦り減らして、人や誰かを犠牲にしてまで手に入れるべきものなのか。

散歩したり、美味しいものを食べたり、誰かと話したりする、ちょっとした日常の中の幸せに喜びを感じるだけでもいいのではないか。

肩の力を抜いて生きてもいいのかもしれない。目指していた自分とは違ってるけど、これはこれでいいのかもしれない。

そんな風に思うことができました。

何者かになることができなくても、世の中には素晴らしいものが溢れている。

そんな人間讃歌的な優しい想いが詰まった作品です。

些細なことにも感動できる心の余裕を持ち、一瞬一瞬を大切に生きていこうと思います。

これからも、映画をたくさん観て、心を揺らしていきたいと思います。

今日の映学

最後までお読みいただきありがとうございます!

映画『ソウルフル・ワールド』の見どころや大人向けのメッセージについて解説しました。

ここまで深いメッセージを見せられるのは、ピクサーならではだと思います。

bitotabi
bitotabi

ピクサーのアニメーション技術があるからこそ、コミカルさと真剣さを絶妙に織り交ぜながらみせられるのだと思います。

ダニー
ダニー

ちょっと仕事や、生きることがしんどいなという人に、ぜひ観てほしい作品です!

 

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