映画『太陽と桃の歌』をテアトルで鑑賞しました。
この映画を観たきっかけはですね、第72回ベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞した作品だからなんですよ。
映画好きとして、ベルリン金熊は見逃せない。これは観なきゃ!って思ったんですけど、第72回って、2022年なんですよね…。なんでそんな遅いんだよ。
かつて日本で海外映画の公開が遅い理由について調べてまとめたんですが、これはいくら何でも遅すぎる笑
気になる人はこちら、読んでみてください☞日本で海外作品の公開が遅い3つの理由
気を取り直して、今回の記事では、映画『太陽と桃の歌』の見どころや感想、解説をお届けします。
2年遅れとはいえ、金熊賞!注目だよ!
あらすじ
スペイン・カタルーニャで、三世代に渡る大家族で桃農園を営むソレ家。例年通り収穫を迎えようとした時、地主から夏の終わりに土地を明け渡すよう迫られる。桃の木を伐採して、代わりにソーラーパネルを敷き詰めるというのだ。父親は激怒するが、妻と妹夫婦はパネルの管理をすれば「楽に稼げる」という囁きに心を動かされる。賭け事に懸けようとする祖父、取り付く島のない父、資金稼ぎに畑の片隅で大麻栽培を始める長男など、てんでバラバラに桃園の危機を何とかしようとするが、大げんかが勃発。一家に大きな亀裂が入ったまま最後の収穫が始まろうとしていた…。
世界各地で56 の映画祭やアワードに受賞&ノミネートされた必⾒作が、遂に⽇本公開!
https://ttcg.jp/ttcg_umeda/movie/1160500.html
スペインの農家のお話ですね。
大人たちのドラマは深刻なので、若干重めなんですが、子どもたちが可愛いんですよ。
しかも出演している人たちは、プロの俳優じゃないそうなんです。その土地に住む、その土地に愛着のある人たちが、本物の家族に見えるように長い時間をかけて共に時間を過ごしたそうです。
感想
先述のように、土地の人たちを起用しているこの映画。さながらドキュメンタリーのようでした。きっと監督の想いが強く乗っかっているんだろうなと。
以下は公式サイトに掲載されているディレクターズノートです。
私の家族は、アルカラスというカタルーニャの奥地にある小さな村で、桃農家を営んでいます。祖父が亡くなると、父の兄弟たちがその土地を引き継ぎました。祖父の死は、深い悲しみをもたらす一方で、先祖から受け継いだ遺産や家族がどれほど桃の栽培に人生を捧げてきたかを感じるきっかけとなりました。家族が育ててきた桃の木がいつの日かなくなってしまうかもしれない…。そう思うととても大切に思えてきて、そこからこの物語が誕生しました。桃農園を営むソレ家が、ソーラーパネルを設置したい地主の意向により、桃の木を失おうとしている物語です。
人類は新石器時代から家族で土地を耕してきました。農業は歴史上で最古の職業です。しかし現代では、そうした農業の形は存続が難しくなっています。今を生きる我々にとって、農業は何を意味するのでしょうか? 私たちはこの映画を通して、伝統的な家族農業を営み、最後まで抵抗し続ける人々にオマージュを捧げたかったのです。そのオマージュはノスタルジックでありながら決して感傷的ではありません。そしてこの作品は、家族の物語です。危機に直面した際に起きる世代間の食い違い、そして団結することの大切さを描いています。大家族の一員である意味を表現するため、群像劇の手法を選びました。飛び交う会話、対立するエネルギー、混沌、小さいけれど意味のある仕草、ドミノ効果を引き起こす感情…。共通のアイデンティティを失いかけているソレ家の一人ひとりが、自分の居場所を見つけようともがいているのです。
監督・脚本 カルラ・シモン
https://taiyou-momo.com/
スペインって、EUの中でも上質な野菜や果物を育てていて、かつ安いらしんですよね。それが原因でフランスの農家がデモを起こしちゃうくらい。
しかし、その反面、近年は気温の上昇や干ばつで、作物がなかなかうまく育たないという問題も抱えているのだとか。
また、映画の主題となっているソーラーパネル。
スペインにおいて、電力消費量に占める自然エネルギーの割合は46%と非常に高く、その中でも太陽光は12%を占めています。ちなみに日本は2023年時点で23.7%。そのうち太陽光は10.7%です。意外と日本も高いですね。
なので、スペインで起こっているような問題は、意外と日本でも起こっているのかななんて思いました。
野菜が育ちやすいような、日当たりのいい土地は好まれやすいんですかね?でも、日当たりがいいってだけでいいなら、何も農地でなくてもいいような気もしますが…。
映画では、農家を辞めて太陽光の管理人になる方が楽して稼げるなんていうことも言っていました。いろいろ複雑なんでしょうね。
なんにせよ、SDGsだとか、エコだとか、口で言うのは簡単ですが、その裏には様々な事情があるんだということを気にしていきたいなと思います。
そこまで社会派というテーマでもなく、やや地味な作品でしたが、監督自身の思いがしっかり乗っかっていて、愛を感じる作品でした。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『太陽と桃の歌』の感想や、スペインの農家の事情について解説しました。
カルラ・シモン監督自身の想いをたっぷりと感じることができますよ。
土地の人を起用したキャスティングにも注目だよ!
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