アイルランド内戦を知らないと、よくわからない映画。
知れば、泣ける映画。
映画「イニシェリン島の精霊」を鑑賞しました。
今作は、スター俳優が出演していないにも関わらず、
第95回アカデミー賞ノミネート作品では、作品賞や監督賞はじめ、主要8部門9ノミネートを果たすなど、アカデミー賞有力候補作品として期待が高まっており、
加えて、第80回ゴールデングローブ賞最多7部門8ノミネートを果たしている、驚異的な作品です。
もうこれは、映画ファンとしては、絶対に見逃せない1本なのです!
これ観なくちゃ、アカデミー賞の結果に対してごちゃごちゃ言えませんからね笑
今回の記事では、「イニシェリン島の精霊たち」を観るにあたって、押さえておきたいポイントを解説いたします!
ハッキリ言って、素で観ると、2時間よくわからないものを観て終わる可能性大です。
予習、復習にぜひご活用ください!
STORY
舞台は本土が内戦に揺れる1923年、アイルランドの孤島、イニシェリン島。島民全員が顔見知りのこの平和な小さい島で、気のいい男パードリックは長年友情を育んできたはずだった友人コルムに突然の絶縁を告げられる。急な出来事に動揺を隠せないパードリックだったが、理由はわからない。賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力も借りて事態を好転させようとするが、ついにコルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をされる。美しい海と空に囲まれた穏やかなこの島に、死を知らせると言い伝えられる“精霊”が降り立つ。その先には誰もが想像しえなかった衝撃的な結末が待っていた…。
サーチライト・ピクチャーズ公式サイトより引用
まずは、監督やスタッフについて知っておく必要がございます!
マーティン・マクドナー監督
マーティン・マクドナー監督は、第74回ヴェネチア国際映画祭で脚本賞、続く2017年度トロント国際映画祭で最高賞の観客賞を受賞した「スリー・ビルボード」の監督です。
かっこいいですよね。俳優みたいなルックスですが、監督です。
劇作家としても活躍しています。
世界中を震撼させた「スリー・ビルボード」は、第90回アカデミー賞において、主演女優賞、助演男優賞の2部門を受賞。
つまり、とにかく俳優を活かすというか、料理が上手い。
もう俳優たちからしたら出たくてしかたがないって感じなんですね笑
ブレンダン・グリーソン
マーティン・マクドナー監督作品「SIX SHOOTER」「ヒットマンズ・レクイエム」に出演した、ブレンダン・グリーソン。
メジャー作の印象は薄いかもしれませんが、実はハリーポッターに出ています。
とにかく、マーティン・マクドナー監督との相性の良さは間違いないので、めちゃくちゃ期待していいです。
コリン・ファレル
「イニシェリン島の精霊」に出演する中では、一番メジャーな俳優でしょう。アイルランドを代表するアクターですね。
彼もまた、マーティン・マクドナー監督作品の常連なのです。
「ヒットマンズ・レクイエム」「セブン・サイコパス」に出演しています。
2017年以降、彼はたくさんの映画に出演し、本当にもう様々なジャンルの演技を身に着けています。
コミカルからサスペンスまで、どれも素晴らしい。
はたして今回の役どころはどんなものでしょうか。
近々だと、「アフター・ヤン」が素晴らしかったです。
二人の喧嘩が表すものとは
映画の中では、上記二人の喧嘩が主なストーリーとなっています。
親友だった2人が絶交のようなことになったその様子は何を表しているのか。
それはすばり、アイルランド内戦です。
映画の時代設定である、1927年は、宗教上の対立により、アイルランド人同士で、激しい争いが繰り広げられていました。
かなり激しい内戦で、多くの死者が出ました。
いまなお、世界中で国内における争いが起こっていることへの警鐘として、この映画は作られたのであります。
精霊信仰
映画を観て気になった点を調べてみました。
タイトルにも入っている”精霊”というキーワード。
舞台であるイニシェリン島は、どうやらカトリックの島のようです。
教会にイエスの像や、主人公の家に肖像画が飾られていたことから推察しました。
そのため、精霊信仰のようなものは薄いようです。
しかし、ブレンダン・グリーソン演じるコルムは、どうも精霊も信仰しているようです。
部屋に奇妙な仮面が飾られていたり、作曲した曲名に精霊をつけたりしたことから、それがわかります。
2人の対立の理由は、このあたりにも要因があるような気がしてなりません。
ちなみに、劇中に登場する精霊は、”バンシー”という恐ろしい精霊で、実はハリーポッターにも登場します。
これまた、面白い繋がりですよね。
感想と見どころ
ここからは、私が実際に鑑賞した感想と、見どころを解説します。
優生思想
今作は、ある人物が殺されることから、優生思想を示唆しているような印象を受けました。
優生思想とは、ナチスの思想の一つです。
障害者は社会に不要であり、より優れた血統でもって繫栄するために虐殺しても構わないという信じられないほど残虐で狂った思想です。
アイルランド内戦をテーマにした今作でもって、戦争の悲劇の一辺を表してるのであります。
ロバが可愛い
ロバのジェシーがとっても可愛いです。
あんなに人懐こくて、賢いロバだったら、家の中に入れちゃう気持ちも分かります。
妹も素敵
ケリー・コンドン演じる妹も非常に魅力的でした。
私は今作において一番好きなキャラクターでしたね。(人間の中では。ロバを入れればロバが一番)
冷静で賢いようで、意外と直情的な部分に人間味を感じます。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「イニシェリン島の精霊」の見どころと感想をお伝えしました。
抽象的な作品で、アイルランド内戦の知識がなければ、分かりにくいと思いますので、鑑賞後にまた見直してください♬
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