自由を手にするハードルがあまりにも高い
映画「皮膚を売った男」をAmazon Prime Videoで鑑賞。
ミニシアター系で劇場鑑賞を逃し、この度Amazon Prime Videoに無料追加されたので早速観ました。
中東っていうと、アラブとかアフガニスタンとかシリアとかだよね。
なんだか怖そうな印象だよ。
そうだね。いまだに内戦が起こっている国もあるんだよ。
この映画を観ると、中東で生きることのハードさがよく分かるよ。
STORY
シリア当局から過激思想を疑われ隣国レバノンへ亡命したサムは、愛する女性アビールの住むベルギーへの渡航を望むものの、手段がなかった。そんななか、著名な芸術家ジェフリーと知り合い、ある申し出をされる。それは、自身の背中にタトゥーを施して、ジェフリーの“アート”となることだった。自由と大金を得るために承諾したサムは、ジェフリーの新作として美術館に展示され、世界を自由に行き来できる身となるのだが…
Amazon Prime Videoより引用
アカデミー賞国際長編映画賞
今作は、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた、異色の人間ドラマです。
ハリウッド映画とはかなり趣の違ういわゆるミニシアター系の映画ですが、その面白さは本物です。
チュニジア=仏=ベルギー=スウェーデン=独=カタール=サウジアラビアという、計7か国の共作であるという点も注目すべきポイントです。
実際の出来事から着想
今作のストーリーは、人間が背中にタトゥーを入れられることで、一つのアート作品になるという、とんでもないものですが、これはなんと実際の出来事を基に作られました。
ヴィム・デルボアという芸術家が2006年にティム・ステイナーという男性の背中にタトゥーを入れ、展示したことを受けたのだそう。
作中に出てくるカラフルな豚も豚にタトゥーをいれた作品もヴィム・デルボアの代表的なものの一つ。
しかも、このティムも、ドイツ人の富裕層によって落札され、彼の死亡後は作品は額に入れて飾られ、所有者のアートコレクションに加えられる契約になっているのです。
こんなことが実際にあるなんて、本当に驚きです…。
シリア難民
今作は2011年のシリアがはじめの舞台です。
2011年というと、シリア内戦がはじまった年で、この内戦は現在まで続いており、1960年以降の世界史において最も難民が発生した戦争と言われています。
それを知ると、映画の主人公が特別というわけではなく、難民になってしまうケースは多分にあるのです。
どれくらいの割合が難民になっているのかというと、なんと6割。
また、きっかけや原因、その内容についても簡単に説明しておきます。
2011年3月15日、シリア各地の都市で一斉にデモが行われ、抗議者と治安部隊が衝突しました。
反政府側の要求は、すべての政治犯の釈放と、抗議者を殺害した者への裁判の実施、令状なしで容疑者を拘束できる非常事態法の撤廃、汚職の根絶など。
政府側は、政治犯の釈放や非常事態法の撤廃、内閣の辞職など要求の一部を受け入れて譲歩を示しましたが、市民の行動は収まりませんでした。
政府側が軍を投入し鎮圧を図ると、市民も武装して対抗するように。
さらに、政府軍の大佐だったリヤード・アスアドが離反。「自由シリア軍」を名乗って、反政府武装勢力を結成し、兵士たちも次々に合流しました。
「政府」対「市民」という構図から、「政府軍」対「反政府軍」という構図へ発展し、シリア内戦が深刻化していったのであります。
内戦開始から8年が経ち、2019年3月15日に発表されたイギリスの監視団体の報告によれば、シリア内戦による死者は約37万人、難民は約1300万人にのぼると考えられています。
内戦前の人口が約2250万人だったので、約6割の人が難民になっている計算になります。
その後も犠牲者の数は刻々と増加しているのが現実です。
これは中々にハードですよね…。
ロシア・ウクライナだけでなく、中東においてもまだまだ戦争は行われているのです。
しかし、「皮膚を売った男」は、そこまで反戦のメッセージは強くありません。
あくまで個人にフォーカスをあてた人間ドラマですので、かなり楽しく鑑賞できます。
あまり気負わずに戦争や世界の情勢を知りたい人にはとってもオススメできる1本です!
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「皮膚を売った男」から得た学びをお伝えしました!
中東で起こっていることや、アート業界の生々しさを味わうことができるとっても学びの深い作品です。
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