「東海道四谷怪談」を鑑賞しました。
こちらの作品、1959年の作品です。
日本の怪談映画史上、最も優れた作品と言われています。
今回の記事では怪談映画の最高傑作と呼ばれる所以や、鑑賞する上で意識するとより楽しめるポイントをお伝えします!
【あらすじ】
https://eiga.com/movie/38031/
備前岡山の屋敷町で浪人民谷伊右衛門は、お岩との仲をひきさかれたのを恨みに思い、その父四谷左門と、彼の友人佐藤彦兵衛を手にかけた。これを目撃した仲間直助は、弱味につけこんで伊右衛門を脅迫するようになった。伊右衛門と直助は左門・彦兵衛殺しを他人の仕業とみせかけ、お岩と妹のお袖、お袖の許婚者で彦兵衛の息子与茂七の三人をつれて仇討と称し、江戸に向けて発った…。
怪談映画の最高傑作と言われる理由
まず、はじめに、今作がなぜ怪談映画の最高傑作であると評価をされているのか解説します。
人間の業
まずはじめに、幽霊や怪奇現象よりもおぞましい人間の私利私欲や、業を描いているという点です。
今作では、罪のない人々が、次々と伊右衛門の手にかけられます。
私欲のために、いとも簡単に人を殺めることに慣れてしまう伊右衛門。そしてそれをそそのかす直助の小賢しさ。
何とも生々しい恐怖が感じられます。
可哀想なホラー
上記の通り、怪談には、罪無く殺されてしまう可哀想な人物が登場するパターンが多いです。
このやりきれなさも、「東海道四谷怪談」が名作と言われる理由の一つです。
お岩さん
「東海道四谷怪談」における可哀想な幽霊は「お岩さん」です。
有名ですね。
伊右衛門に毒を盛られた結果、顔の半分がただれ、恐ろしい形相となって恨みながら命を落とします。
「これだけのことをすれば、そりゃあ化けでもでるわ」
「伊右衛門は呪われても仕方がない」
「呪いってのは、恨みってのは、あるのかもしれないな」
と十分に感じられる怖さが、「東海道四谷怪談」にはあります。
特殊効果
そして最後に、特殊効果の見事さです。
お岩さんに施されたメイクは、今観てもなかなかに恐いです。
海外の名作にもひけをとらない、おどろおどろしいメイクはお見事。
クローネンバーグの映画にも負けてないのではないかと思います。
また、天井に張り付く演出や、池から現れるシーンも、お見事です。
古いからちゃちであるという印象はありませんでした。
後半クライマックスにおける、怒涛の特撮は見ごたえ抜群です。
東海道四谷怪談こぼれ話
ここからは、東海道四谷怪談に登場するものの、豆知識やこぼれ話をご紹介します。
蛇
伊右衛門と直助は、物語後半で「お岩の幽霊」に加え「蛇」の怪奇現象にも遭遇します。
蛇は、脱皮を繰り返すことから、「死と生」の象徴として、古くから日本では神格化されています。
また、「嫉妬」の象徴として比喩されることもありますね。
序盤で伊右衛門が殺めた蛇の祟りなのか、
はたまたお岩の嫉妬の情念なのか。
お岩さんの呪い
四谷怪談を基にした作品を手掛けると、それに関わった人には何かしら不幸が起こるという伝説があります。
いわゆるお岩さんの呪いですね。
しかし、実はお岩さんは、実在する人物ではありません。田宮岩という人物がモデルという説が濃厚ですが、この人は特に悲しい殺され方をしたという事実はないのです。
むしろ良妻賢母だったとか。
近頃私は思うのですが、都市伝説の恐ろしさって実はここにあるのではないかと思います。
誰かが作った・考えた話が、本人のもとを離れて、独り歩きしながら、人々を恐怖させていく。やがてその恐怖は日本中に広がり、あちこちで呪いめいた怪現象が起こる…。
最近読んだ「ずうのめ人形」という小説から、こんなことを考えるようになりました。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
「東海道四谷怪談」について解説しました。
今観ても確かに恐ろしい。怪談というジャンルにおいて最高傑作と言える作品です。納得。
こちらの作品はアマゾンプライムビデオで鑑賞できます。
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