小津安二郎の名作、「東京物語」をアマゾンプライムビデオで鑑賞しました。
老い・家族・人と人の関り・真心。
人生の中で多くの人が関わるであろう事柄を、ただのいい話ではなく、冷静に、実直に。真っ直ぐに描いています。
だからこそ、心に響く趣がある。もの凄い作品でした。
私が人生のテーマにしている「素直さ」「誠実さ」がいかに大切であるかを実感できました。
今回の記事では、「東京物語」の解説や見どころを、映画がより味わい深くなるようにお伝えします。
STORY
尾道で暮らす老夫婦・周吉ととみは、東京で暮らす子どもたちを訪ねるため久々に上京する。しかし医者の長男・幸一も美容院を営む長女・志げもそれぞれの生活に忙しく、両親を構ってばかりいられない。唯一、戦死した次男の妻・紀子だけが彼らに優しい心遣いを見せるのだった。
https://eiga.com/movie/38069/
映画監督が選ぶ最高の映画
「東京物語」は、世界の映画監督が選ぶ最も優れた映画に選ばれています。
【ロンドン=共同】英国放送協会(BBC)によると、英国映画協会発行の「サイト・アンド・サウンド」誌が2日までに発表した、世界の映画監督358人が投票で決める最も優れた映画に、小津安二郎監督の「東京物語」(1953年)が選ばれた。批評家ら846人による投票でも同作品は3位だった。
https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0204A_S2A800C1CR8000
「市民ケーン」「2001年宇宙の旅」などの海外超名作を押さえての首位。
これだけでも、どれほど優れた作品かが伝わってきますね。
カメラワークが印象的
「東京物語」はカメラワークがとても印象的な作品です。
最近の映画ではなかなかお目にかかれない、独特なアングルを見せてくれます。
ローポジションで、固定した引きの画がとても多い。
部屋の片隅にカメラを置いているような、自然な家の中の風景を映し出すことで、人物の動きや立ち位置が非常によく分かります。
その上、リアリティも抜群。何か自分も家族の一人であるかのような錯覚を得られました。
もう帰ろうか
作品の中で、老夫婦の夫が妻に向かって優しくつぶやくセリフです。
私は東京も世界もまだまだ観たいと思っています。
しかし、劇中の
「もう帰ろうか。東京も見たし、熱海も見たし」
というセリフからは、東京の人の多さや、家族との心の距離感に疲れてしまった様子がじんわりと伝わってきました。
それとともに、妻を気づかう優しさも感じられます。
最初は近い 去る頃には遠い東京
冒頭では、東京に着いてすぐ、妻が
「こんなに東京が近いなんてビックリしたよ」
と言っていました。
しかし、帰る前には
「東京は遠いから」
と真逆のことを言っています。
きっと家族との距離や、尾道に暮らす自分たちとの生活との違いを実感したのでしょう。
なんだか切ない気持ちになります。
身内にこそ愛がなくては
「東京物語」を観て改めて考えさせられました。
家族や、一番近くにいる人に、どれだけ優しい、心のこもった対応を自分自身はできているのだろうかと。
近頃大人気の本「人は話し方が9割」にも同じことが書いていました。
仕事や人前で上手く話すスキルよりも、身近な人の話を誠実に聴き、対話することが一番大切であると。
1953年、およそ70年前の作品で、同じことを言っているんだから、もうこれは間違いないことなのでしょう。
言葉遣いだけ丁寧でもいけないのですね。
家族や友人だからこそ、心を込めて話すこと、聴くことを心がけます。
原節子さん
原節子さん演じる紀子がとても素敵な役です。
健気な人柄。優しさ溢れる笑顔がたまりません。
当時の女優さんには珍しく、スラっと背が高く、長い手足が印象的でした。
あんな風に、利他の心を持った人に憧れます。
お手本にしたいほど、素敵です。
また、当時の女優さんには珍しく、スラっと背が高く、長い手足が印象的でした。
自分の生活が1番大事
そんな紀子さんが終盤で、
「誰でも自分の生活が一番大事」
「私、ズルいんです」
と、語ります。
これこそが、「東京物語」が他の作品と一線を画す点です。
年下の女性に対する言葉かけや、
義父に対して本音を吐露した、
そのリアリティにドキッとしました。
ただのいい話で終わらないところがとても心に響きました。
それでも正直で、素直であることは、人としてとても大事なことであると最後のセリフで実感できます。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます。
「東京物語」の感想や見どころをお伝えしました。
私は『素直であること』『誠実であること』は人生においてとても大切なことだと思っています。
それが間違ったことではないと、実感できる作品に出会えました。
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