責任とってね♡
映画『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』をAmazon Prime Videoで鑑賞しました。
本作は高橋留美子さん原作の『うる星やつら』の劇場版第二作目にあたる作品です。
監督は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の押井守さん。
本作は、アニメ好きにとっては、評価が分かれやすい作品です。
そうなの?詳しく知りたいなぁ…。
今回の記事では、映画『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』の評価が分かれる理由や、作品をより深く味わうための解説をお届けします!
あらすじ:学園祭を翌日に控え、準備に大忙しの友引高校。あたるたちも学校に泊まり込んで作業に追われていた。そんな中、あたるたちの担任・温泉マークと養護教員のサクラは、学園祭の前日が延々と繰り返されていることに気付き、全員に帰宅を命じる。しかし、友引町はすでに異常事態に陥っていた。
https://eiga.com/movie/34968/
評価が分かれる理由
まず初めに本作の評価が分かれる理由について解説していきます。
その理由はずばり、押井守の作家性が出過ぎて、本来の『うる星やつら』らしさが出ていないことです。
『うる星やつら』ファンからすると、「こんなのうる星やつらじゃない!」といった意見があるようですね。
この作品の出来について、高橋留美子さんと押井守さんが大喧嘩したという噂もあります。(高橋留美子さんは不仲説を否定しているそうですが)
実際にオンタイムでこの映画を観た人も、あまりにもぶっ飛んだ作品だったので、驚きを隠せなかったそうです。
確かに本作は、『うる星やつら』のキャラクターを土台にして、登場人物たちの裏側を描くようなつくりになっています。
あたるがラムに対する想いを吐露したり、サスペンスフルな展開になっていたりしますもんね。
無邪鬼とサクラの解説や、夢の主の正体を面堂が推察したりするシーンは、『うる星やつら』のそれとはかなりかけ離れています。
ちなみに私は『うる星やつら』のオールドファンでもないので、本作はめちゃくちゃ面白いと思う派です。
この作品を起点にして、アニメは哲学的な暗い雰囲気のものと、萌えっぽいものに分かれていく傾向があります。
アニメファン自体も、どちらかを好むようになっていくんですね。
『AKIRA』とか『エヴァ』方向にいくか、気楽な方にいくかといったところでしょうか。
押井守さんも、この作品以降、『攻殻機動隊』のようなシリアスなものを作っていきます。そして、この作品以降は、土台となるアニメのキャラクターにあまりセリフを言わせなくなったり、見た目をリアルな人間よりにしていったりしていくんです。
本作は本当に哲学的でオカルティズムにも溢れています。
古代インドの宇宙図を元ネタにしていたり、無邪鬼という夢を司る存在が、世界の歴史に関わっているという設定が何とも面白いんです!
映画好きにとっては楽しみやすい作品
私は本作はただの映画好きにとっては、とっても楽しみやすい作品ではないかと思っています。
学園祭の仮装に紛れて、東宝の作品である、ゴジラやモスラ、ウルトラマン、ウルトラマンタロウなどが出てくるのがすでに映画好きの心をくすぐりますし、
エイリアンやスター・ウォーズなんかも出てきます。
フランケンシュタインもゴリゴリにこすられてますね。
また、単純に、タイムリープものとしてのクオリティが高いです。
1984年の時点でこの設定はかなり斬新なのではないかと思います。
日本では筒井康隆さん原作の『時をかける少女』の実写が1983年に公開されていますね。こちらはタイムトラベルを扱ったもので、何度も繰り返すのとは若干違う感じはします。アニメ版はもろにタイムリープで何度も繰り返すストーリーでしたが。
海外のヒット作としては、1993年の『恋はデジャ・ヴ』がタイムリープ系の走りではないかと思います。
個人的に大好きな作品です。
比較的コミカルなところも、『うる星2』に近い感じはします。エンタメとしては『恋はデジャ・ヴ』かもしれませんが、重厚感は『うる星2』の方が上かなと思います。
とにかく、1993年より大分はやい1984年に本作が公開されたことは凄まじいですよね。
冒頭のあたるについて
『うる星2』は、冒頭で諸星あたるのやつれたシーンが映し出されます。
それ以降、彼は基本的にいつものおちゃらけた雰囲気なので、そのシーンだけがどうもおかしいんですよ。
このシーンについて、実は解決したかのように見えたラムの夢のループから、彼だけが抜け出せていないため、疲弊しきっているという説があります。
本作のエンドロールは、校舎に『うる星やつら2』の看板が映りそこから徐々に離れていくものになっています。
そして、この看板を降ろすようなシーンが映画の中で度々登場するんです。
この映画がまた再び繰り返されるような演出になっているわけですね。
さらに、最後の校舎は2階建て。
映画の中で普段は3階建てなのに今日は4階だというシーンがあり、これもまた、夢から覚めていないことを示唆しているという説があるんです。
マネキン人形
本作では、ホラー風味のシーンが度々見られます。
中でも一番不気味なのが、あたると面堂が買い出しに出かける際に、マネキンを載せたトラックとすれ違うシーンです。
あたるの夢の中における、女の子たちの正体がマネキンだったというシーンが終盤で見られます。
そしてこの不気味なシーンのマネキンがその時に使われたものなんです。
あたるはこのマネキンを見た時もまた、冒頭のように絶望的な表情を見せます。
抜け出せていない説に拍車をかけているように感じますね。
繰り返し観るからこそわかる、面白い演出です。
意味深なセリフ
『うる星2』では、意味深なセリフもたくさんあります。
まず一つ目が、面堂が発する
「おのれのくだらん夢に人を巻き込むな」
です。
これは物語の序盤で発せられるものなんですが、この映画全体にフックする、面白いセリフです。
ラムの思いを汲むと、結構切ないですよね。
二つ目は、小さい少女(ラム)の発する、
「責任とってね」
です。
このセリフは、ストーリー的にはよく分からないものなんですが、恐らく現実に押井守さん自身が関係者から言われた言葉なんじゃないかなと思います。
こんな風変わりな映画作っちゃって…、しかも『うる星やつら』で…、もう、責任とってね。的な。
ちなみにこのセリフは小さいラムちゃんが言うセリフなんですが、正体が分かることを防ぐために、ギリギリまで島本須美さんが演じています。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『うる星2ビューティフルドリーマー』の解説記事をお届けしました。
『うる星やつら』ファンの方は苦手な人もおられるかもしれませんが、映画好きにはぜひともオススメしたい1本です。
考察も楽しいよ♬
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