夜明け前が一番暗い。しかし、明けない夜はない。
映画『夜明けのすべて』をTOHOシネマズで鑑賞しました。
本作は『ケイコ目を澄ませて』の三宅唱監督の作品です。
主演は松村北斗さんと上白石萌音さん。『カムカムエブリバディ』で夫婦役を演じたお二人です。
本作、かなり勉強になります。多様性とか、目には見えない病気を抱える人ととのコミュニケーションに理解を深めたい人は絶対に観るべきです。
あらすじはこんな感じ!
月に一度、PMS(月経前症候群)でイライラが抑えられなくなる藤沢さんはある日、同僚・山添くんのとある小さな行動がきっかけで怒りを爆発させてしまう。だが、転職してきたばかりだというのに、やる気が無さそうに見えていた山添くんもまたパニック障害を抱えていて、様々なことをあきらめ、生きがいも気力も失っていたのだった。職場の人たちの理解に支えられながら、友達でも恋人でもないけれど、どこか同志のような特別な気持ちが芽生えていく二人。いつしか、自分の症状は改善されなくても、相手を助けることはできるのではないかと思うようになる。
https://hlo.tohotheater.jp/net/movie/TNPI3060J01.do?sakuhin_cd=023407
今回の記事では、『夜明けのすべて』に登場する病気について解説したり、私の感想をお伝えしたりしながら、本作の見どころをお伝えしていきます。
PMSとは
はじめに、PMSについて解説します。
PMS(月経前症候群)とは、Premenstrual Syndrome の略です。
月経前、3~10日の間続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものをいいます。
原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンの変動が関わっていると考えられています。排卵のリズムがある女性の場合、排卵から月経までの期間(黄体期)にエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。この黄体期の後半に卵胞ホルモンと黄体ホルモンが急激に低下し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMSの原因と考えられています。しかし、脳内のホルモンや神経伝達物質はストレスなどの影響を受けるため、PMSは女性ホルモンの低下だけが原因ではなく多くの要因から起こるといわれています。
精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感、身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがあります。
日本産婦人科学会より引用
『夜明けのすべて』の中では、上白石萌音さんがこの病気でした。
彼女の場合は、情緒不安定やイライラによって、他者とのコミュニケーションにおける障害があるようでした。
また、薬の副作用がかなり重く、眠気で仕事にならないようなシーンも。
これはかなりきつそうですね…。
こういう女性特有の症状があることを知ることができてよかったです。
パニック障害とは
続いては、パニック障害について解説します。
パニック障害は、特に身体の病気がないのに、突然、動悸、呼吸困難、めまいなどの発作(パニック発作)を繰り返し、そのため発作への不安が増して、外出などが制限される病気です。長引くと仕事などができなくなったり、うつ病になることもあるので、専門医による的確な診断と早期治療が大切です。
ある日突然、めまいや動悸、呼吸困難といった症状とともに強い不安・恐怖が起こります。
https://www.n-ushicli.com/mentalsupport/panic-disorder.html
日常生活において、ストレスをため込みやすい環境の方々がなりやすい傾向があります。その後、「発作が、また起こったら…」という強い「予期不安」が特徴的とも言えます。100人中1-2人にみられます。
『夜明けのすべて』では、松村北斗さんがこの病気を抱えています。
家庭や仕事などで、精神的に追い込まれている時に発症することが多いそうです。
中川家のお兄さんがパニック障害であるのが、話題になりましたね。
中川家のお兄さんは、現在は完治しているそうです。
パニック障害は8割9割くらいの人が完治するそうです。
とはいえ、発作時はかなりきつそうですし、電車にも乗れない、飲食店にも行けない、美容室にもいけないなんて、かなりキツイですよね。
しかも、100人に1・2人であれば、これまでに私たちも出会っている可能性は非常に高そうです。
PMSと合わせて、こちらも配慮していきたいものです。
グリーフケアとは
『夜明けのすべて』の中で、もう一つ知っておくべきなのが、グリーフケアという言葉。
光石研さんと、渋川清彦さんが、グリーフケアを受けているシーンが一度だけあります。
グリーフケアは、身近な人が亡くなってしまった人に対する心のケアのことです。
グリーフケア(ぐりーふけあ、grief care)とは、身近な人との死別を経験し、悲嘆に暮れる人を、悲しみから立ち直れるように支援することである。グリーフ(grief)とは、深い悲しみを意味する。遺族に寄り添う姿勢が大切であるとされている。
「グリーフ(悲嘆)のプロセス」という長期に渡って特別な精神の状態の変化を経て、大きな悲しみを乗り越えて行く過程を支援し、最終的には遺族が立ち直れるまで寄り添うことを目的とする。
https://www.kango-roo.com/
誰しも、生きていれば、身近な人の死は経験しますよね。
私もそうです。
その時に受ける心の変化の大きさは人それぞれ。
ケアを受けずとも、明るくふるまえる人もいれば、ケアを受けないとなかなか前を向けない人だっています。
こういったケアを受けている人がいることや、ケアする団体があるということを知ることができてよかったです。
感想
ここから先は私が映画を観た感想をお伝えします。
正直なところ、私は三宅唱監督の前作『ケイコ目を澄ませて』にはそこまで感動しませんでした。
聴覚障害者の役を、健常者の岸井ゆきのさんが演じていたからです。
岸井ゆきのさんの演技は素晴らしかったんですが、『CODA』のように、本物の聴覚障害者を使ってほしいなあという思いがあったからです。
しかし、本作は少し違う。
聴覚障害よりも、より身近な病気をテーマにしているという点が非常によかったと思います。
あれなら、誰が演じて違和感はないですし、自分の身近な人もそうかもしれないよな、と、自分事に落とし込みやすかったように感じました。
また、天体に関する詩的なセリフや、夜明けについて話すラストシーンもとっても感動しました。
私もアルファルドのように、誰かの手助けや道しるべになれたらいいなと思います。
きっと、私やあなたの周りにも、目に見えない病気に悩む人はたくさんいるのでしょう。
でも、そんな人をそっと支える人もたくさんいるし、知っていれば自分だってそういう存在になれるはずです。
いい学びを得ました。
ちなみに、映画の中で上白石萌音さんが言ってた二本の映画は『スペース・カウボーイ』度『アポロ13』です。
今日の映学
最後までお読みいただきありがとうございます!
映画『夜明けのすべて』に出てくる病気や感想をお伝えしました。
PMS、パニック障害、グリーフケア。大事なことを学ぶことができました。
色々知って、賢くて優しい人になりたいよね。
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